オラクルはMySQLを手放す、理由は儲からないから、とアナリストが予想
オラクルが日本時間16日の早朝に発表したデータベースマシン「Oracle Exadata Database Machine Version 2」(参考記事)。このOracle+Sunの統合製品第一弾は、オラクル社内では「ラリー・エリソンプロジェクト」と呼ばれていたそうです。
つまりオラクルあるいはエリソン氏にとって、オラクルのソフトウェアとサンのハードウェアとの統合が非常に重要なプロジェクトと位置づけられていたのだと推察されます。
そのオラクルは、同社がサン・マイクロシステムズを買収する件について欧州委員会による調査と承認を待っているところです。しかし欧州委員会はこの買収がデータベース市場の競争に与える影響について「重大な懸念がある」と表明しています。オラクルはいうまでもなくデータベース市場のリーダーですが、それがオープンソースのデータベースとしてよく知られるMySQLを保有すると独占につながる恐れがある、というのがその理由です。
ブログ「欧州の視点」のエントリ「EUの懸念受け、OracleがMySQLをスピンオフ?」では、こうした状況から、オラクルがMySQLを手放すと予想するアナリストがいるというBarron'sの記事「Oracle May Spin MySQL To Win EU OK For Sun Deal, Analyst Says」を紹介しています。
MySQLはオラクルにとって資産ではなく荷物だ
その記事によると、あるアナリストが上記の欧州委員会による懸念に加え、以下の理由を挙げて、MySQLを手放すだろうと予測しているとのこと。
- MySQLのコミュニティがオラクルによるMySQLの所有に懸念を持っており、MySQLのユーザーもオラクルがMySQLに前向きな意向を持っていると信じていない。
- MySQLのユーザーの98%以上は自分自身で問題解決を図るタイプであり、メンテナンス費用を払うとは思えない。
つまり、
"MySQL is a baggage, not an asset,"
MySQLは(オラクルにとって)荷物だ、資産ではない
と書いているそうです。オラクルにとってサン・マイクロシステムズのハードウェアビジネスが非常に重要な位置を占めていることは、今回の新製品発表で明らかになりました。同社が欧州委員会の懸念を払拭して無事に買収を完了するためならば、MySQLをあっさり手放すことがあっても全く不思議ではなさそうです。
しかし気になるのは買収後のJavaのポジションです。買収発表直後のコメント以後、オラクルはJavaについてほとんど触れていません。9月9日の記事「Javaのオープンソース実装にくすぶる懸念。オラクルはこの問題を解決するのか?」でも書いたように、Javaコミュニティの中にもオラクルがJavaを所有することに対する懸念は存在しており、何らかのアナウンスが待たれているところです。
欧州委員会は今回の買収を詳細に調査することを表明しており、最終的な決定は2010年1月になると伝えられています。
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