MS、IBM、Zendらが共同でメタクラウドAPIに取り組み。Windows AzureとAmazon EC2の相互運用も実現へ!
PHPのツールベンダとして知られる米Zend Technologiesが、クラウドごとに異なるAPIを抽象化する、いわゆるメタクラウドAPIの開発プロジェクトを立ち上げました。
オープンソースとして開発されるこの「Simple Cloud API」には、マイクロソフト、IBM、Rackspace、GoGrid、Nirvanixの5社も共同創立協力者(co-founding contributors)として名前を連ねています。
Zend Technologiesの発表によると、Simple Cloud APIの最初のリリースでは、Amazon Web Services、Windows Azure、Rackspace Cloud Files、Nirvanix Storage Delivery Networkなどのクラウドが提供する、ファイルストレージ、ドキュメントデータベース、シンプルキューサービスに対するAPIが用意されるとのこと。
開発者はSimple Cloud APIを利用することで、異なるクラウドに対する操作でもソースコードの書き換えが必要なくなります。
Zend Technologiesは、Simple Cloud APIのPHP実装を「Zend Cloud」と呼ばれるコンポーネントとして提供する予定です。また、同社によるとSimple Cloud APIはオブジェクト指向言語であれば移植可能だと説明しています。同社の発表から引用します。
The Simple Cloud API can be translated to any object-oriented language for the Web. The PHP implementation will be available in the widely adopted open source Zend Framework project as a new component, called "Zend Cloud."
マイクロソフト、IBMの協力が強み
クラウドごとに異なるAPIを抽象化して統一する、いわゆる「メタクラウドAPI」は、すでにオープンソースの「libcloud」、レッドハットの「δ-cloud」(デルタクラウド)などが取り組みを発表しています。
しかし今回のSimple Cloud APIは、なんといってもマイクロソフトとIBMが協力している点に注目しなければならないでしょう。両社はクラウドの相互運用性について話し合うためのOpen Cloud Manifestoを設立するときに決裂し、マイクロソフトはOpen Cloud Manifestoには参加しなかったという経緯があります。業界や顧客に大きな影響力を持つこの両社がともに賛同している点で、Simple Cloud APIはほかのメタクラウドAPIよりも一歩先んじているといえます。
また、ほかのメタクラウドAPIがインスタンスの生成や削除など比較的プリミティブな管理レイヤでの操作が中心なのに対して、Simple Cloud APIはストレージ、データベース、キューといったアプリケーションに近いレイヤでの操作を抽象化しようとしていることも大事なポイントです。クラウドに依存しないアプリケーション開発の可能性が見える点で、メタクラウドAPIの新しい展開なのかもしれません。