IBMがついにSaaSへ本格参入を開始! LotusLiveショートレビュー

2009年4月2日

サンフランシスコで行われているオライリーが主催するイベント「Web 2.0 Expo」で、IBMがSaaSへの参入開始を発表したというニュースが入ってきました。

発表によると、同社は4月7日からLotusLive Engageの販売を開始するとのこと。いままで具体的な商品がなくてSaaS市場で存在感を示せなかったIBMですが、ついに市場参入です。

Lotus Live Engageは電子会議とチャットを中心としたコラボレーションサービスで、今年の1月に行われたIBMのイベント「Lotusphere」で同社のSaaS戦略商品として発表されました。

LotusLive

LotusLive Engageはすでにベータ版が公開されており、だれでも試すことができます。IBMのSaaS戦略商品がどんな機能を備えているのか、ショートレビューで紹介しましょう。

LotusLive Engageショートレビュー

LotusLive EngageはLotus Liveブランドとして提供されているサービスの1つです。LotusLive Engageのほかに、LotusLive Meetings(電子会議サービス)、LotusLive Notes(Lotus NotesのASP版)があります。

LotusLive Engageは主に以下の機能を備えています。

  • オンラインミーティング
  • オンラインストレージ、ドキュメント共有
  • インスタントメッセージング
  • アクティビティ(共有ToDoリストのようなもの)
  • アンケートフォーム

LotusLive Engageへの登録は、名前とメールアドレス、会社名を入力。すると確認メールが届くので、そこに記されたURLへジャンプすることで登録が終了します。

つまりLotusLive Engageは、すでにメールアドレスを保有していることを前提にしたサービスであり、LotusLive Engageのサービスとしては電子メール機能は提供されません(電子メール機能はLotusLive Notesサービスで提供されるようです)。

オンラインミーティングでドキュメント共有とインスタントメッセージング

オンラインミーティングは、LotusLive Engage登録ユーザー同士が同じプレゼンテーションやドキュメントを参照しながら、ビデオやインスタントメッセージでコミュニケーションを行う機能です。

操作はすべてWebブラウザから行うことができます。ビデオによるコミュニケーションは、プラグインが必要となります。また、PCの画面を共有してアプリケーションの操作など参加者全員で参照する機能もあります。これもプラグインが必要となります。

fig オンラインミーティングの画面。プレゼンテーションやドキュメントを参加者で共有しながら、右ペインにあるビデオやインスタントメッセージで議論を進める。共有ドキュメントはPCからアップロード可能

プロジェクトでToDoが共有できるアクティビティ

「アクティビティ」はLotusLive Engageならではの機能といえそうです。アクティビティとはプロジェクトのことと考えてよいでしょう。あるプロジェクトの名前と目標、期限を定義して、メンバーをアサインします。

そしてメンバーでToDoを共有し、ToDoごとに進捗を確認することでプロジェクトを実行していきます。

fig アクティビティの画面は日本語化されている

アクティビティは一人でいくつでも設定できますし、他人からアサインされたアクティビティも自分の画面に表示されるため、自分のToDoや進捗なども確認できます。

インスタントメッセージングはSameTime

LotusLive Engageにはインスタントメッセージ機能もあります。利用にはLotus SameTimeのクライアントのインストールが必要で、Webブラウザから利用することはできません。

まるでソーシャルネットワークを使っているような

オンラインミーティングの参加者やプロジェクトメンバーを招待するときには、自分のコンタクトリストから選ぶわけですが、このコンタクトリストの作成はソーシャルネットワーク的なものになっています。

というのも、ここではLotusLiveに登録する登録者で「パブリックに公開」としている人全員が検索可能になっています。公開している人ならだれでも自分のコンタクトリストに入れてオンライン会議に呼べ、プロジェクトメンバーとして参加してもらうことができます。

fig プロフィールを公開している人全員を対象に「Ken」で検索してみると、かなりの人数がヒットする。SNSを利用しているような感覚だ

グループウェアをそのままホスティングしたのでは、こういうことは絶対に起こりません。グループウェアには利用する企業ごとに管理者がいて、その管理者が登録したユーザー同士でないとコミュニケーションできないのが普通です。

しかし、LotusLive Engageでは、まるでソーシャルネットワークで友達を検索するように、参加者全員の中からメンバーが選べます(もちろん相手の許可がいりますが)。

これにより、LotusLive Engageでは社内の人、社外の人という区別なく自由にコラボレーションツールを通してさまざまな人とオンライン会議やインスタントメッセージによるコミュニケーション、そしてプロジェクトの運営を行っていくことができます。

これからはさまざまなコアコンピータンスを持つ企業や個人や組織が連携してプロジェクトを実行する時代。ソーシャルネットワーク的機能は、SaaSのうえにLotusLive Engageを展開したIBMからの「これがコラボレーションをSaaS化するメリットの1つだ」というメッセージなのかもしれません。

ここで紹介した以外の機能の紹介など、LotusLive Engageの詳しいレビューは、近日中にPublickeyのReviewカテゴリであらためて公開する予定です。

また、このLotusLive Engageの対抗製品となるマイクロソフトのSaaSのレビュー記事「MS Online Services / BPOSβ -- マイクロソフトのSaaS戦略商品は面倒なサーバ管理を一掃する [Review] 」もぜひご覧ください。

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