HTML5ではWebブラウザの互換性が確実に向上する、なぜなら...
なぜなら、HTML5の仕様書には「9.2 Parsing HTML documents」という、HTML文書をパースする処理方法についての記述が含まれているためです。
HTML5以前の仕様書には、WebブラウザがHTML文書をどうパースすべきかといった詳細には触れておらず、どのタグはどう解釈すべきか、といったことだけが記述されていました。
jQueryの作者であるJohn Resig氏は先日ブログで「HTML 5 Parsing」というエントリを公開していますが、その中で次のように書いています。
One of the biggest wins of the HTML 5 recommendation is a detailed specification outlining how parsing of HTML documents should work.
HTML5仕様のもっとも大きな勝利の1つが、HTML文書のパースをどのようにすべきかということが詳細に記述されていることだ。
the parsing section is one that is almost universally appreciated by browser vendors. Once browsers start to implement it users will enjoy the improved compatibility, as well.
(仕様書の)パースに関するセクションは、ブラウザベンダに歓迎されるだろう。そしてそれが実装されれば、ユーザーはより向上した互換性の恩恵を受けられるだろう。
そして実際にGeckoでの実装が始まったことが、HTML5の仕様策定を行っているWHATWGのブログでアナウンスされました。
今後、Webブラウザはいまより高度な互換性を実現することで、どのWebブラウザを選んでも基本機能には変わりがないものとなり、ユニバーサルクライアントとして安心して使えるようになっていくのでしょう。これはWebデザイナーにとってだけでなく、Webアプリケーションを構築するプログラマ、業務アプリケーションを運営する情報部門やそれを利用するエンドユーザーにとってもメリットがあるはずです。
一方でWebブラウザ間の競争では、より高速に動作し、より安定して、より拡張性に富み、使いやすい、といった部分にフォーカスがあたることになるでしょう。
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