Google、Twitter、Yahoo Pipes、Netvibesを華麗に使いこなす英国政府
Netvibesというポータルサービスがあります。簡単にいえば、WebページにRSSやウィジェットを自由に貼り付けて自分専用のポータルページを作るためのサービスです。MyYahooやiGoogleに似たようなもの、ともいえます。
さて、先月の2月24日に英国政府はオープンソースを推進する施策を打ち出し、そのことを政府のWebサイトで表明しました(ブログ「欧州の視点から」で知りました)。
「政府は、調達の判断時にはプロプライエタリなソフトウェアを検討するのと同様に、積極的かつ公平にオープンソースを検討する」
といったポリシーが打ち出されています。
これだけでも一国の政府の動きとしては驚くことだったのですが、さらに僕が驚いたのは、英国政府がこうしたオープンソース活用のアクションプランについて国民に広く議論を呼びかけるために作ったポータルです。
これがNetvibesでできていて、しかもとてもよくできているのです。下記の縮小画面をクリックすると拡大画面が表示されるので、ぜひよく見てみてください。あるいは直接、ポータルページを訪問してみてください。
このポータルでは次の情報などが統合されています。
- Google検索による関連情報の検索結果
- Googleニュース検索による関連ニュースの一覧
- Googleブログ検索による検索結果の一覧
- Twitterの政府関連のつぶやき
- Backtypeによるコメントの追跡
しかも情報のフィルタリングにはYahoo! Pipesまで使われています。そのうえ「検索キーワードもしくはタグには#ukgovOSSを使ってください」と情報収集のための専用タグまで用意する周到さ。
陳腐な表現かもしれませんが、まるでWeb 2.0ツールを使いこなすギークのしわざではないですか!
うまくまとめられないのですが、このポータルをみて僕はいろんなことを考えました。
- 英国政府のIT担当にはきっとすごく優秀な人がいるに違いない
- もしくは英国政府には担当者が独断でやれるだけの風通しの良さがあるのかも
- オンラインサービスやツールもここまで認知されるようになったんだなあ
- プログラミングを行わない情報システムの姿をかいま見たなあ
- 日本の政府がこんな大胆な施策と行動をする日は果たしてやってくるのだろうか?
もし同じ機能を持ったポータルをどこかに外注して作らせたら、いったいいくらの見積もりがでてくるでしょう? 政府ならそれくらいのことはやりかねません。しかしそれを既存のオープンなツールで実現した。もしかしたら外部に発注もせず、担当者がさくさくと作ったのかもしれません。
ITを使いこなす技術的なハードルが低くなってきた昨今、オープンなツールを使いこなせるかどうかは、技術力があるかどうかよりも、それを受け入れるカルチャーや仕組みが組織にあるのかどうかの比重が高くなってきているのではないか。そしてそれが結果として、組織の情報発信能力やネット上での存在感に大きな差を生むことになるのではないかと、英国政府の例を見て感じました。
NetvibesはいずれPublickeyのレビュー記事で取り上げてみたいなと思いました(追記:レビュー記事公開しました)。ここで使われていたYahoo! Pipesはレビュー記事を公開したばかりなので、よろしければご参照ください。