Google Wave専用のビジネスプロセスツールをSAPが開発中、コード名「Gravity」
SAPが同社研究所で開発中の「Gravity」は、Google Waveを活用してビジネスプロセスのモデリングを共同作業で行えるツールです。公開されているビデオでのデモンストレーションを見ると、Google Waveがビジネスコラボレーションのためのツールとして大きな可能性を備えていることに気付かされます。
そのGravityとはどのようなものか? さっそくビデオの画面を基に紹介していきましょう。
ビジネスプロセスを共同でモデリングしていく
BCD銀行と、FH生命保険。両社は合併し、新しい金融保険商品を開発することになりました。そこで、FH生命保険で個人ローンを担当するサラと、BCD銀行で銀行業務のビジネスアナリストのジョンは、Google Waveでコラボレーションしながら、新しい商品を開発するためにビジネスプロセスのモデリングを行っています。
Google Waveの画面上部にはGravityのモデリングツールが表示され、二人で同時にビジネスプロセスのモデルを作り上げていくことができます。複数人が同時にGravity上でビジネスモデルの構築作業が可能になっています。
ジョンが、さらにモデルの続きを作るために、保険業務のビジネスアナリストであるメアリーを作業の途中で呼び出して参加してもらいます。メアリーは、それまでの経緯を把握するためにGoogle Waveのプレイバック機能で二人の会話と作業を確認することができます。
メアリーの作業にはピンクのシャドウが表示され、またプロセスの中で彼女が気がついたコメントも追加できます。
このあとさらに数人の関係者を呼び出し、モデリングを完成させます。最初の二人であるサラとジョンはずっとGoogle Waveに張り付いている必要はなく、ある関係者はリアルタイムで作業を行い、ある関係者はほかの関係者がオフラインのときに作業を行い、Wave上にメッセージを残していきました。
最後に作業に参加したのはボット、「シンタックスチェック・ボット」です。ボットは「終了イベント」が抜けていることを発見、自動的に追加し、その旨をメッセージとして残して、モデリングの完成です。
その日の夜、メアリーは自宅からiPhoneでGoogle Waveを呼び出し、作業の確認を行い、承認メッセージをWaveに残しました。
翌朝、承認メッセージを確認した関係者が、完成したビジネスプロセスの内容をXMLとして出力し、SAP NetWeaverで読み込んで実際にビジネスプロセスとして実行することが可能になります。
グーグルがGoogle Waveを発表したときのデモンストレーションでは、画面上でチェスをしたり、Webアルバムのページを共同で編集したり、といったコラボレーションの様子が紹介されていました。
SAPが開発中のGravityは、そのGoogle Waveのコラボレーション機能をビジネスの現場でも強力なツールとして活かすことができることを見せてくれました。SAPに限らず、ビジネスコラボレーションのプラットフォームとしてのGoogle Waveがますます魅力的に見えてきました(参考:1分ずつ見る「Google Wave」デモ×11 - Blog on Publickey)。
業務ワークフローをGoogle Waveで構築した例も以前に紹介していますので、そちらもぜひ参照してみてください(参考:Google WaveとSAPとの連係で見えてくる、業務アプリケーションのフロントエンドとしてのGoogle Wave)。
今回のデモンストレーションは、SAPのAlexander Dreiling氏が、ブログのエントリ「Gravity - Collaborative Business Process Modelling within Google Waveで紹介しているものです。
Google Waveは現在、限られたデベロッパーにしか公開されていませんが、9月30日には一般の開発者に向けての公開が始まる予定です。
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