Google WaveとSAPとの連係で見えてくる、業務アプリケーションのフロントエンドとしてのGoogle Wave
Google Waveを業務アプリケーションのフロントエンドとして活用する可能性を、SAP Community NetworkのブロガーDaniel Graverson氏が「SAP Enterprise Service and Google Wave」というエントリで紹介しています。
Google Waveは「電子メールが今の時代に発明されたとしたら」という発想で開発されている新しいコミュニケーションツールです。チャットのようなリアルタイムなやりとり、電子メールのような非同期なやり取りが可能で、テキストによるコミュニケーションだけでなく、Google Waveをプラットフォームとした共同作業も可能な作りになっています。
Google Waveでワークフローを作る
Graverson氏は、Google Waveの機能を使ってワークフローが簡単に作れることを示しています。銀行にローンを申し込むデモンストレーションでは次のようなボットを用いた手順で、ローンを申し込んでから銀行員が承認するまでのフローを実現しています。
- 利用者がGoogle Waveからローン申し込み用「ボット」を呼び出す
- ボットが表示する申し込みフォームに、必要事項を記入する
- ボットが必要事項をチェックして漏れや記入ミスがなければ、情報を銀行員に転送する
- ボットが表示している「承認」ボタンは銀行員にしか押せないようになっている
- 銀行員が内容を確認し、承認するならば、ボットに表示されている「承認」ボタンを押す
- 承認が利用者に伝わる
Google Waveで業務アプリケーションと対話する
さらに、銀行員がローンを承認するかどうかを決定するアプリケーションにも、Google Waveをフロントエンドにしたデモンストレーションを用意しています。Braverson氏はSAP ES(Enterprise Service)からの情報をGoogle Waveのボット経由で表示する、というデモンストレーションも作っています。
このデモンストレーションでは、ボットに対して顧客番号を入力すると、SAP ES経由で業務システム内の顧客情報が返ってくる、というもの。
専用のアプリケーションを作れば同じことができることは言うまでもありませんが、Google Waveという汎用(になる可能性のある)コミュニケーション基盤を利用し、ユーザーインターフェイスはそちらにまかせることで、人間に対するコミュニケーションと機械に対するコミュニケーションを上手に統合しているように思えます。
例えば、一見同じことが電子メールでもできそうですが、Google Waveではフォームを定義できるため、必要事項を確実に入力してもらうことが可能です。また、ボットからはリアルタイムで返答が返ってくるため、入力ミスがあったりエラーだった場合にもその場でエラー表示されます。数分待ってメールの返事を見たら失敗していたのでまたやり直し、という事態が避けられ、効率のよいフローが作成できそうです。
ボットという新しいアプリケーションの形態、これからの業務アプリケーションのユーザーインターフェイスのあり方について考える材料になりそうです。
Google Waveは現在、限られたデベロッパーにしか公開されていませんが、9月30日には一般の開発者に向けての公開が始まる予定です。
以下は、実際に上記をデモンストレーションしたビデオです。それぞれ約2分程度。
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