グーグル、バナーを現実世界に表示。Google Appsは本気だ
日本ではGoogle Mapsのピンを現実世界の築地本願寺や渋谷、恵比寿などに出現させたグーグルですが、米国ではバナーのような看板をボストン、シカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコに出現させました。
この看板は企業ユーザーをターゲットに、メールやオフィスソフトをGoogle Appsに切り替えるメリットを訴える「going Google」キャンペーンとして行われているもの。下記の5種類の看板が平日毎日切り替わるそうです。
グーグルではGoogle Appsのメリットとして、メールサーバなどの運用保守が不要になり、また何年かに一度行わなければならないソフトウェアのアップグレードも必要ないためコストも手間も節約できる、といったことを訴えていく予定です。
マイクロソフトへの先制攻撃?
さて、この「going Google」キャンペーンは、マイクロソフトのExchange Serverなどのサーバソフトウェア群やOfficeに対抗したものだ、と誰もが考えるところでしょう。ところが、「Google AppsはMicrosoft Officeにとって脅威か?」と疑問を呈すのが、eWEEKの記事。
Googleがやることは何でもそうだが、この野外広告の発表もニュースになった。しかし、企業市場では、Microsoft OfficeにとってGoogle Appsはどれほどの脅威になっているのだろうか。
どうもそれほど大きな脅威ではなさそうだ。といってもそれは、MicrosoftあるいはGoogleがクラウドベースのプロダクティビティプラットフォームを提供する能力に関することではない。多くの企業がクラウドそのものに対して抱いている不信感の問題なのだ。
まだ企業はクラウドベースのアプリケーションに対して不信感を抱いている、と主張しています。
またInformationWeekの記事「Google Muscling In On Microsoft Enterprise」でも、変化は急には訪れないだろうとしています。
Google claims to have plenty of large enterprises switching (or considering a switch) from Office to Apps, but can oddly only mention a limited number. Is it an issue of NDAs, or just that very few large enterprises are actually switching?
グーグルは多くの大企業が(Google Appsへの)切り替え、もしくは切り替えを検討中と主張するが、不思議なことに彼らは限られた事例にしか言及しない。これは守秘契約のせいなのか、それとも実際のところわずかな大企業しか切り替えていない、ということなのだろうか?
(略)
This won't happen overnight either -- as Fred Wilson notes, legacy technology dies slowly.いずれにせよそれは一夜にして起こることではない。フレッド・ウィルソン氏が書いたように、古くなったテクノロジはゆっくりと死んでいくものなのだ。
そう、企業向けのソフトウェアビジネスでは良くも悪くも変化に時間がかかるものです。だからこそ2010年前半ともいわれるOffice 2010の登場の1年近く前からグーグルはこのキャンペーンを始めたのでしょう。それだけグーグルは本気になっているのではないかと僕には思えます。
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