Firefoxの開発総責任者がこの先2年間、Firefox 4.1までのロードマップを語る
モジラのFirefox開発総責任者であるMike Beltzner氏が、プラハで行われた「Mozilla Camp Europe 2009」で、オープンソースとして開発されているWebブラウザ「Firefox」のこの先のビジョンとロードマップなどを明らかにしています。モジラの動向を伝えるブログ「Mozilla Flux」のエントリ「Firefoxが速く前に進むために」が詳しく伝えていました。
Firefoxのビジョンやロードマップなどは、Mike Beltzner氏が行ったプレゼンテーション「Firefox.next: moving faster」で発表されました。ポイントをいくつか紹介しましょう。
Beltzner氏は、Firefoxが新たな競合にさらされていると指摘。しかし同氏はブログで、次のように書いています。
This is the competition we wanted, the competition we created, and the competition that has benefited the Internet and all of its users.
これはわれわれが望んだことであり、作り出したことであり、そして競争はインターネットとその利用者すべてにとってよいことだ。
そして今後の競合について次のような考えを明らかにしています。
The competition in the next 2 years will be about how the technology used to create exciting, rich, interactive experiences online is developed.
今後2年で起こる競争とは、いかに技術を用いてエキサイティングでリッチでインタラクティブな経験をオンラインで提供できるようになるか、ということだ。
これを実現するために、今後はより早いタイミングでFifrefoxをバージョンアップしていくとのこと。約半年ごとに新バージョンが登場する見通しです。
今後2年間、2010年から2011年のあいだに、Firefoxは3.6から4.1まで4つのバージョンが登場することになります。そのロードマップがこれです。
文字が小さくて読みにくいので、以下に転記しましょう。
- 2010(前半):Firefox 3.6
personas、plugin updates、full screen video、CSS gradients、js ctypes、more responsive、more stable、faster、WinCE、Maemo - 2010(後半):Firefox 3.7
weave、tab management、new theme、animation、out of process plugins、more responsive、more stalbe、faster、Android? - 2011(前半):Firefox 4.0
jetpack、new user interface、task based browsing、content creation tools、process separation、more responsive、more stable、faster - 2011(後半):Firefox 4.1
...more responsive、more stable、faster
来年早々にも登場するFirefox 3.6ではFirefoxの外観を簡単に変更できるようにするアドオン「Personas」を搭載、フルスクリーンのビデオ再生も可能になるとのこと。
Firefox 3.7ではブックマークや履歴、パスワードなどを複数のFirefoxで同期できる「weave」を搭載、プラグインのプロセスを本体から分けて安定性を向上させることなどが行われる予定。
メジャーバージョンアップとして2011年にリリース予定とされるFirefox 4.0では、JavaScriptでプラグインが簡単に書ける「Jetpack」、ユーザーインターフェイスの一新、ECサイトへの自動ログオンといった手順を実行してくれるタスクベースブラウジング、コンテンツ作成ツールなどを予定しており、同年中にFirefox 4.1も予定されています。
そしてすべてのバージョンアップで、スピードと安定性を高めていくことが計画されています。
このように、この先2年間は非常にアグレッシブな計画が用意されています。一方で、これだけ頻繁なバージョンアップにFirefoxを取り巻く利用者、そしてアドオンの開発者たちはついてこれるのか? という心配もあります。特に、アドオンが最新バージョンに対応しなければ、そのユーザーもFirefoxのバージョンアップについてこないでしょう。その回答がJetpackなのだとは思いますが、多くのアドオンがJetpackに対応するのはFirefox 4.0以降だと考えると簡単に安心するわけにもいきません。
しかし、Firefox 3、Google Chrome、Safariの登場によって、この1年でWebブラウザが激しく進化する分野へと変化したのも事実。Firefoxがこのようなアグレッシブなロードマップを明らかにしたことで、競合ベンダも同じようにアグレッシブに対応し続けるのでしょう。