eXtreme Programmingが今年で10周年、ブーム再び
アジャイルソフトウェア開発手法の先駆けとなった「eXtreme Programming」(XP、エクストリーム・プログラミング)の書籍「Extreme Programming Explained - Embrace Change」(邦訳「XPエクストリーム・プログラミング入門―ソフトウェア開発の究極の手法」)が発刊されたのは、いまから10年前の1999年でした(邦訳本が発刊されたのは2000年12月)。
来週末、9月19日土曜日に日本XPユーザーグループ(XPJUG)主催で行われるイベント「XP祭り」も「XP祭り2009 ~ XP10周年:ソフトウェア開発から日本が変わる ~」と名付けられており、XPの10周年を意識した内容になるようです。
XPからアジャイルへ
2001年にはXPやScrum、DSDMといったいわゆる反復的な開発手法などを全体として「アジャイルソフトウェア開発」という考え方でまとめた「Manifesto for Agile Software Development」(アジャイルマニフェスト宣言)が発表され、より認知が広まっていきます。
国内ではこの時期、今から8~9年ほど前にいちどアジャイルソフトウェア開発のブームが起こりました。2001年、2002年にはケント・ベック氏も来日し盛り上げに一役買っていましたが、その後しばらくしてブームも下火になります。しかし最近になって、再びアジャイルソフトウェア開発が注目を集めている、という話をよく聞くようになりました。
あるコンサルタントの方からは「ITへのコストカットがきっかけになって、企業の情報部門が外注を切って自分たちで開発を行うようになった。そこで早く成果を出すためにアジャイル開発手法に注目しているようだ」という話をされていました。また別のベンダの方からは「金融や製造などの先進的な企業ではアジャイルを活用したシステム構築がすでに行われており、これについていけない未熟なSIerやベンダは振り落とされかねない」と言っていました。
今年の2月に行われたイベント「Agile Japan 2009」では、参加費1万円にもかかわらず200人を超える参加者が集まり、「リーンソフトウェア開発」の著者であるメアリー・ポッペンディーク氏の講演などに耳を傾けていました。
また、IBMが来月10月8日に行うイベント「IBM Rational Software Conference 2009 - Japan」では、1番人気が「要求定義、要求管理」トラック、そして2番人気がアジャイルをテーマにした「開発プロセス改善」トラックだと先日の打ち合わせ(実は僕も開発プロセス改善トラックに出演する予定です)で担当の方から聞きました。
昨年の8月には、アジャイルの分野で貴重な貢献をした人物を毎年2人選出するGordon Pask Awardに、日本のアジャイルの第一人者である平鍋健児氏が選ばれています。
アジャイルがソフトウェア開発を変えていく
XPから10年、再び国内でアジャイルソフトウェア開発の盛り上がりがすぐそこまでやってきているように思います。多くの人が主張するように、アジャイルソフトウェア開発は従来のウォーターフォール型の開発手法にはない特徴を数多く備えた、とても優れた手法です。
そしてアジャイルソフトウェア開発は、長期的には多くの現場でソフトウェア開発のあり方を変えていく手法になるのではないかと僕は考えています。しかもそれは要求管理、要件定義、開発、テスト、プロジェクトマネジメント、顧客との関係など、IT全体にかかわる大きな変化になるはずです。希望的観測も込めて、ですが。
今後もPublickeyでは、アジャイルソフトウェア開発の動向を追っていきます。
曖昧で変化しやすい要求仕様と向き合いながら、ソフトウェアを開発するためのライト級の方法論であるエクストリーム・プログラミング(XP)について解説する。新たな知見をとりいれた第2版。(Amazonから引用)
著者はトヨタ生産方式を源流とする「リーン(無駄のない)開発」の原則がソフト開発に有効とのスタンスを取る。このリーン開発をアジャイル開発に当てはめるための思考法を解説する。デスマーチの経験といった実話が随所に織り込まれ、説得力がある。(Amazonから引用)