CRMの次の波はなにか?
IBM シニアコンサルタントのVijay Vijayasankar氏が、SAPのブログネットワークで「CRMの次の波はなにか?(So, what is next in CRM?)」というエントリを書いています。
先日、このブログでも「パッケージソフトからSaaSへと主戦場が変わるCRM市場」というエントリを書いたばかりですが、大企業ではおおむねERPの普及が一巡したとみられる現在、次は蓄積された情報を活かす手段として、そして不況の中で営業を効率化するための手段としてCRMへの投資が注目されるのではと僕は考えています。
これからのCRMはどんな方向に進化しようとしているのか、Vijayasankar氏の意見を見てみることにしましょう。
1.汎用CRMは終わり、特定用途CRMへ
これまでベンダから提供されてきた"one size fits all"なCRMソリューションは終わりを告げ、顧客が望むようにカスタマイズされたCRMが求められることになる。
2.CRMはさまざまなソフトの複合体になる
売上げ情報や顧客情報など、ERPとCRMのデータや機能は重なるところがあるように、CRMは社内のさまざまなシステムからデータを取得して処理しなければならない。今後はWebサービスのような仕組みで容易にシステムインテグレーションを実現していくことになるのではないだろうか。
3.バッチ処理からリアルタイム処理へ
いままでCRMはERPやBIとバッチで情報を受け渡していた。今後はこれらのシステム群とリアルタイムで相互に情報をやりとりできるようになっていくだろう。
4.顧客のセグメント化の向上
多くのCRMでは顧客をセグメント化する機能を備えているが、マーケティングのROIを高めるために、このセグメント機能への注目はさらに高まり、より向上することになるだろう。
5.すべてはアドホックになる
事前に用意された方法でマーケットや顧客を分析することはどんどん難しくなっており、アドホックに分析手法を変更できる機能が増えていくだろう。
さらにVijayasankar氏は、CRMがクラウドに載ること、そしてfacebookやTwitterといったソーシャルメディアに対応したSocialCRMの登場なども予想しています。
ソーシャルメディアに対応したCRMを想像すると、CRMを用いた顧客とのコンタクト経路としてソーシャルメディアを利用したり、ソーシャルメディアの評判などをマーケティング情報として利用するものなどになりそうで、現在の企業内の情報だけを分析するCRMとはかなり異なった姿のCRMになりそうですね。
しかし、企業と顧客の関係を考えるとき、これからはソーシャルメディアを無視することはできなくなることは間違いなく、それをCRMで扱うというのは当然の流れといえそうです。