[速報]グーグルが「Chrome OS」ついに公開! ソースコード含む詳細を明らかに
11月19日(日本時間11月20日午前3時半)、グーグルはWebアプリケーションの実行に特化したオープンソースの新しいOS、Google Chrome OSのための「Chromium OS」プロジェクトをオープンソースとして公開したと発表しました。
オフィシャルページでグーグルは「Google Chrome OS will be ready for consumers this time next year.」と書き、Chrome OSの製品がユーザーの手に届くのは来年になるとしています。
公開されたのは、以下のものです。
- Source code(ソースコード)
- Design docs(システムデザインのドキュメント)
- User interface experiments(ユーザーインターフェイスのドキュメント)
- Getting and Building a Chromium-Based OS(ビルドの方法)
- Short overview video(紹介ビデオ)
画面も3点公開されています。
Chromium OSの特徴と内部構造
Chromium OSの最大の特徴は、Webアプリケーションの実行に特化したOSであることです。そのため、OSそのものがWebブラウザの実行に最適化され、そのためにシンプルな構造となり、それゆえにOSもセキュアになり、かつ起動や実行も速くなるとグーグルは主張しています。
グーグルが公開している「Software Architecture」から、内部構造を紹介していきましょう。
Chromium OSのアーキテクチャは以下の図に示されています。カスタマイズされたファームウェアの上にLinuxカーネル、そしてその上にXとグラフィックライブラリおよびシステムライブラリ、その上にウィンドウマネージャとWebブラウザがあります。
アーキテクチャ全体の概要図
このアーキテクチャを下位レイヤから見ていきましょう。
ファームウェアの詳細図
ファームウェアはOSを素早くブートするカギとなる部分であり、複雑性を廃してシンプル化し、確実にブートすることを目標としています。最新のハードウェアをターゲットにすることで過去のレガシーなハードウェアのための膨大なバックワードコンパチビリティのための複雑さを省略できることが、ファームウェアのシンプル化に役立っています。
システムレベル、ユーザーランドのソフトウェア
ここではLinuxカーネルとドライバ、そしてユーザーランドのデーモンを用いています。ユーザーランドではUpstartを用いることでサービスを並列的に起動、クラッシュ時の再生成、ブート高速の自動化などを実現しています。Autoupdateデーモンが自動的に最新のイメージをインストールします。
ChromiumとWindowsマネージャ
ウィンドウマネージャは他のX Window Mangerと同様に、ウィンドウ位置の管理、フォーカスの配置などを行います。
Chromium OSの稼働ハードウェア
Developer Hardwareページで公開されているDeveloper hardware listによると、Chromium OSの稼働が確認されているのは2009年11月20日現在、以下の機種とされています。
- HP Mini 5101
- Acer Aspire One AOD250-1165 10.1-Inch Blue Netbook
- ASUS Eee PC 1008HA Seashell 10.1-Inch Pearl Black Netbook
- Lenovo Ideapad S10-1311UW 10.2-Inch White Netbook
- Dell Mini 10V
ただし「Getting and Building a Chromium-Based OS」を読む限り、実行イメージはいまのところ自分でビルドして作成する必要があるようです。
Chrome OS機能ハイライト
グーグルが公開しているChrome OSの紹介ビデオの中から、Chrome OSの機能についてハイライトを紹介しましょう。特に新しいユーザーインターフェイスと、システムを安全にアップデートするマルチパーティションの仕組みに注目です。
Google Chrome紹介ビデオ
上記の内容を含むChrome OSの紹介ビデオをグーグルが公開しています。
Chrome OSを3分20秒で紹介するビデオ「What is Google Chrome OS?」です。このビデオの中でグーグルはChrome OSの特徴を、余計な機能を省略してWebブラウザに特化したシンプルで高速に動作し、ローカルには何も持たず保存もしないとしています。特に、「通常のPCではスイッチを入れて起動するまで45秒もかかる。Chrome OSなら数秒で起動する」と、起動速度の速さをうたっています。
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