「メタクラウドAPI」がオープンソースで登場
カリフォルニアで先週開催されたオープンソースのイベント「OSCON 2009」で、Amazon EC2、Rackspace Cloud Servers、Slicehost、GoGridなど複数のクラウドサービスを1つのAPIで利用できるオープンソースのライブラリが発表されました。「libcloud」と呼ばれ、スタートアップのCloudkickが開発中です。The Registerが、記事「Open source API dreams of The Meta Cloud」で報じています。
libcloudを発表した同社のブログでは、このオープンソースソフトウェアを次のように説明しています。
libcloud is a unified software interface for working with services like Amazon EC2 or Rackspace Cloud Servers. The project is a client library, written in pure python, that allows developers to code against a single, standard API, and allows their apps to be portable to any supported cloud server provider - no more lock-in!
libcloudは、Amazon EC2やRackspace Cloud Serversのようなサービスのインターフェイスとなるソフトウェアです。このプロジェクトはクライアントライブラリであり、Pythonで記述されています。これによって開発者はどのクラウドサービスプロバイダでも動作するアプリケーションを、1つの標準化されたAPIで記述できるようになります。もうロックインされずに済むのです!
いまのところlibcloudの機能は、複数のクラウドサービスからインスタンスをリストアップし、それらの終了やリブートなどが行える、といった基本的な機能にとどまっているようです。恐らく今後は、それ以外のさまざまな操作も統一したAPIで行えるように拡張されていくと予想されます。
libcloudのWebサイト「libcloud.org」もできており、そこでは主なクラウドサービスと、現在の対応状況が公開されています。トップページには、Slicehost、Rackspace、GoGridからのエンドースメントも掲載されており、各クラウドサービスからも認められたプロジェクトとなっているようです。
また米RackSpaceはこれとは別に、同社のクラウドを操作できるRESTベースのAPIをオープンソースで公開しています。
複数のクラウドがこのようにAPIベースで簡単に操作できるようになれば、それはクラウドのためのミドルウェアの呼び水となるはずです。
このブログの前回のエントリ「クラウドに付加価値を与える「クラウドブローカー」の登場をガートナーが予想、総務省ではクラウド連携に8億の研究予算」で、ガートナーがクラウド連係を行うクラウドブローカーの登場を予想していることをお伝えしましたが、クラウドブローカーが使うソフトウェアの登場は早くも現実となろうとしています。
以前のエントリ「ケント・ベック氏が指摘するクラウドの問題点は『データロックイン』」で書いたように、顧客にとってクラウドベンダによるロックインは、クラウドを利用する際の懸念の1つ。
それを解消するために、クラウドサービスを抽象化するミドルウェアが登場してくるのは、少なくとも技術的には自然なことです。今後どのようなミドルウェアが登場し、進化していくのか。さまざまな可能性が考えられそうです。
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