Amazon EC2は1日に5万ずつ新規インスタンスが起動されている、は本当か?

2009年9月24日

Datacenter Knowledgeの記事「Amazon EC2 Adding 50,000 Instances A Day « Data Center Knowledge」では、Amazon EC2の新規インスタンス数は1日に5万ずつ増加している、という分析を紹介しています。

Anatomy of an Amazon EC2 Resource ID :: Jack of all Clouds

その分析はGuy RosenのブログJack of all Cloudsの記事「Anatomy of an Amazon EC2 Resource ID」に掲載されています。

1日に5万インスタンス、1万3000EBSボリュームの増加

Rosen氏は1時間ごとにAmazon EC2のインスタンスやストレージを起動してそのIDを記録する、ということを繰り返し、24時間のあいだにIDがどのように増加していくかを調査しました。その結果、以下の結論にたどり着いたとしています。

  • 50,242 instances requested
  • 12,840 EBS volumes requested
  • 30,925 EBS snapshots requested
  • 41,121 reservations requested

また、増加の様子をグラフにしています。ブログから引用します。

fig Amazon EC2などのインスタンスが24時間で増加していく様子

Rosen氏が分析に用いたインスタンスのIDは、「i-31a74258」のように一見すると連続した番号にはなっていません。このIDの発番の仕組みを分析したことが、今回の調査の基礎となっています。また、この分析結果から、Amazon EC2がスタートしてからこれまでに約840万インスタンスが起動されたと推測されています。

ただしこの調査はアマゾンの米国にある1つのデータセンターについてであることをRosen氏は記事中で指摘しています。

アマゾンは米国で3サイト、ヨーロッパで1サイトのデータセンターを稼働中で、それらを合計すると、もしかしたらAmazon EC2全体では今回計算された数値の2倍以上、数字にして10万以上のインスタンスが毎日新しく生成されているのかもしれません。

アマゾンの中の物理サーバは1日何台くらい増える?

「雲」の中にサーバーは何台あるか:ITpro

では、アマゾンの物理サーバは1日にどれくらい増加しているのでしょうか? 日経コンピュータ編集部のクラウド担当 中田敦記者が書いたITproの記事「"雲"の中にサーバーは何台あるか:ITpro」では、次のように推測されています。

Amazon.comがRackableから購入したサーバー台数は、概算で2008年度が2万4000台、2007年度が1万6000台となる。サーバーの耐用年数が4~5年ということを考えると、Amazon.comが運用するサーバーの総台数は、7万~10万台程度ではないだろうか。

2007年が1万8000台、2008年が2万4000台とのこの記事の推測から、計算を簡単にするために2009年度は3万6000台とちょっと多めに数字を見積もると、1日にならして約100台ずつサーバが増える計算になります。

この100台でどれくらいのインスタンスが起動できるのでしょう? 推測してみます。

Amazon EC2のインスタンスは、スモールで「1.7 GB of memory, 1 EC2 Compute Unit」、ラージで「7.5 GB of memory, 4 EC2 Compute Units」、エクストララージで「15 GB of memory, 8 EC2 Compute Units」となっています。1 EC2 Compute Unitは2007年当時のXeonまたはOpteron 1.2GHz相当とのことですから、さすがにサーバ1台でこれらのインスタンスを1000も走らせるのは無理でしょう(ほかにHigh-CPUインスタンスというプロセッサ能力を高めたインスタンスも選択可能ですし)。

事実上休眠しているインスタンスや、全力を出し切っていないインスタンスを考慮して多めに見たとしても、1台のサーバに詰め込めるインスタンスは20から30あたりがいいところではないでしょうか。

だとすると、サーバが1日に100台増加するとして2000から3000インスタンスの増加(純増)が推測できます。

1日あたりの新規が10万あっても、純増は数千レベル?

1日に10万ずつインスタンス起動されていく裏で、役割を終えて削除されていくインスタンスもあり、その両方を差し引きするとAmazon EC2全体のインスタンス純増数が求められるわけです。この純増数は、さきほどの物理サーバの能力からして1日に2000から3000程度と推測しました。

1日に起動される新規インスタンスが10万、一方でインスタンスの純増数が2000から3000。この推測がおおむね合っているとすれば、Amazon EC2では非常にはげしくインスタンスの生成、消滅が起きていると想像できます。

しかし、どうも両者の数字が離れすぎているような気もしていて、もしかしたらまだどこかに見落としているデータやロジックがあるのかもしれません。読者のみなさんはどうお思いでしょうか?

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