記事タイトル? 読者に考えてもらおうよ! というHuffington Postの実験
記事タイトルのよし悪しは、その記事の人気を大きく左右します。どんなに頑張ってよい記事を書いたとしても、つまらないタイトルなら誰も読んでくれません。多くの記者や編集者、ブロガーたち、そしてもちろんこのPublickeyも、よい記事を書くのと同じように、あるいはそれ以上に、よいタイトルをひねり出すことに情熱を注いでいます。
記事タイトルを決めるためA/Bテストを採用
よりよい記事タイトルを編集者だけが考えるのではなく、読者にも協力してもらおう、という試みが、 米国のコラムニストであるアリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)氏が立ち上げた人気のオンラインメディア「The Huffington Post」 で行われていると、ブログ「Nieman Journalism Lab」のエントリ「How The Huffington Post uses real-time testing to write better headlines」が伝えています。
Huffington Postのチーフテクノロジーオフィサー Paul Berry氏によると、Huffington Postのいくつかのヘッドラインでは、A/Bテストを実施しているとのことです。つまり、あらかじめ2種類のヘッドライン用タイトルを用意しておき、読者にはランダムにどちらかのタイトルを表示します。そして記事公開から5分後、よりクリックが多い方のタイトルを正式タイトルとしてすべての読者に表示するそうです。
Huffington Postほどの規模のサイトだからこそ、5分で十分なサンプルが集まり、またこうした専用のA/Bテストシステムを内製する体制を持てるのでしょう。
しかも読者に協力してもらおうという試みはこれだけでなく、もう1つ紹介されています。
Twitterで読者に「いいタイトルない?」
Huffington Postのソーシャルメディアエディター Josh Young氏は、TwitterでHuffington Postをフォローしているフォロワーに、ある記事のリンクを示したうえでタイトルについてのアイデアを教えてほしいとつぶやいたそうです。
そして多くのリプライの中から、Benjamin Lowe氏のつぶやきをヘッドラインのタイトルとして採用したとのこと。Benjamin Lowe氏が、「自分のタイトルが採用された!」とつぶやいています。
メディアを進化させる試みは誰が実現しているか
読者に記事タイトルを決めてもらおうという発想は、積極的に読者とともにメディアを作り上げていこうという考えを持った、インターネット時代のメディアならではの発想のように思います。いままで記事のタイトルを決めることは編集者の役割であり、ある意味でそこは聖域でした。しかし、そうした編集プロセスを読者に対してオープンなものにするというのは、メディアに起きている大きなトレンドの1つです。
僕は以前のエントリで「メディアにもアーキテクチャがある。だからアーキテクトが必要だ」と書きましたが、今回の試みも、テクノロジーや読者の知恵をメディアといかに組み合わせてシステム化するか、というアーキテクト的な視点と能力がHuffington Postという組織の中にあったからこそ実現できたのではないかと思っています。
それにしても、メディア企業の中にチーフテクノロジーオフィサー、ソーシャルメディアエディターという肩書きの人がいて、彼らがメディアを使ってどんどん実験している点は、非常に新世代のメディア企業らしい感じですね。