5年以内に台頭する「シチズン・デベロッパー」により、IT業界はどう変化するのか
今年4月の記事「ホワイトカラーはみんなプログラマーになる仮説」で僕は、「ホワイトカラーの仕事の一部は広い意味で『情報を処理するためのプログラムを書くこと(マッシュアップを構築することetc...)』」に変わっていっても不思議ではない、と書きました。
企業内の多くの情報がデジタル化されている現在、それを処理し、あるいはそれを基にして判断しアクションをしていくのがホワイトカラーの仕事であるとすれば、それを効率的に支援するようなプログラミングができるかできないかで生産性が大きく変わります。だから今後のホワイトカラーは、それがExcelのマクロとかメーラーのフィルターとかポータル画面のパーソナライズとか、そうしたことも含んだ広い意味でみんなプログラマーになるのではないか、という予想です。
また、ホワイトカラーがプログラマー化することで優れた成果を生み出した(と予想される)例として、「Google、Twitter、Yahoo Pipes、Netvibesを華麗に使いこなす英国政府」の記事で、外部のツールを見事にマッシュアップして作り上げた英国政府のオープンソースポータルの例を3月に紹介しています。
シチズン・デベロッパーがビジネスアプリの4分の1を開発する
米調査会社のガートナーが先週発表したレポート「Gartner Says Citizen Developers Will Build at Least 25 Percent of New Business Applications by 2014」も、そうした従来はプログラマーではなかった人々が、あらたに開発者として存在感を表してくることを示しています。
ガートナーいわく、
By 2014, citizen developers will build at least 25 percent of new business applications, according to Gartner, Inc.
2014年までに、新規ビジネスアプリケーションの少なくとも4分の1は「シチズン・デベロッパー」によって開発されるだろう
とのこと。シチズン・デベロッパーとは誰のことでしょう?
Gartner defines a citizen developer as a user operating outside of the scope of enterprise IT and its governance who creates new business applications for consumption by others either from scratch or by composition.
ガートナーはシチズン・デベロッパーを、エンタープライズITの領域外でのユーザーの活動として定義しており、そして誰かのための新しいビジネスアプリケーションとしてスクラッチからの開発、もしくは既存のアプリケーションの組み合わせによって作られるものとしている。
シチズン・デベロッパーは自分のソフトウェアを「パーソナライズ」するところからデベロッパーの経験を積み始め、マッシュアップツールなどのツールの進化がそれを促進しており、またモバイルデバイスの普及が「パーソナライズ」の必要性をより高めている、とガートナーはレポートの中で指摘しています。
"The bottom line lies in encouraging citizen developers to take on application development projects that free IT resources to work on more complex problems,"
結論として、シチズン・デベロッパーはアプリケーションの開発プロジェクトを取り込んでいくことだろう。それによって、(企業内の)IT部門はより複雑な問題に取り組めるようになる。
インフラはクラウドに、基本的なビジネスアプリケーションはシチズン・デベロッパーにまかせることができるようになったとき、職業としてプログラマー、デベロッパー、SIerを選ぶ人たちの仕事は、よりビジネスに対して本質的な問題解決を実現するためのソリューションを提供するか、あるいはクラウドやシチズン・デベロッパーのための基盤を提供するか、この2つに分かれていくことになるのではないでしょうか。