没後55年、チューリング博士に対し、イギリス政府が過去の不当な扱いを謝罪
1954年に亡くなったアラン・チューリング博士に対してイギリスのブラウン首相が、当時の政府による不当な扱いに関する謝罪を先週の金曜日に行ったと、InformationWeekの記事「Alan Turing, Computer Pioneer, Honored At Lastが伝えています。また、イギリス首相のWebページでも謝罪の意を表明しています。
チューリング博士は、現在のコンピュータの基礎となる「チューリングマシン」についての論文の発表や、人工知能の分野ではコンピュータが知能を備えているのかどうかを判別するための「チューリングテスト」を提唱するなど、初期のコンピュータサイエンスの発展に大きく貢献した著名なイギリスの数学者です。
現在でもコンピュータサイエンスの発展に貢献した人に対して、彼の名を冠した「チューリング賞」が送られるなど、その名前は歴史に刻まれています。
彼は第二次世界大戦中にナチスのエニグマ暗号を解読するなどイギリスに対して大きな貢献をしたにもかかわらず、同性愛者であったために政府に強制的な治療を受けさせられるなど、不当な扱いを受けていました。彼の死因は、そうした傷心による自殺と言われています。
ブラウン首相の謝罪は、第二次世界大戦の70回目の開戦記念のタイミングに行われました。文中から一部を引用します。
It is no exaggeration to say that, without his outstanding contribution, the history of World War II could well have been very different
誇張ではなく、彼の傑出した働きがなければ、第二次世界大戦の歴史は違ったものになっていただろう