ヒューレット・パッカードが3COM買収。これからはITサービスがプラットフォームとなる
ヒューレット・パッカードが老舗ネットワーク機器ベンダの3COMを買収、というニュースが飛び込んできました(参考:HP、Ciscoの競合3COMを27億ドルで買収 - ITmedia News)。
オラクルのサン・マイクロシステムズ買収に象徴されるように、このところIT企業の合従連衡が活発になっています。
ヒューレット・パッカードは昨年、大手ITサービスのEDSを買収しており、大手SANベンダであるブロケードを買収する候補としても名前が挙がっていました(参考:HP、EDSを139億ドルで買収 - ITmedia News)。
ヒューレット・パッカードのライバルとして大きく成長したデルも先月、ITサービスのペローシステムズの買収に合意しています(ハード+サービス企業へ:Dell、IT情報サービス企業Perot Systemsを39億ドルで買収 - ITmedia エンタープライズ)。
現在は、特定の分野や製品に特化した専業ベンダーが大手総合ベンダに次々に買収される時代です。
例えば、専業BIベンダはほとんどなくなってしまいました。CognosとSPSSはIBMに買収され、Business ObjectsはSAPに買収され、ハイペリオンはオラクルに買収されました。SASは唯一生き残っています。
仮想化ベンダも専業ベンダはほとんど生き残っていません。VMwareはEMC傘下、XenSourceはシトリックスが買収、VirtualIronはオラクルが買収、Innotekはサン・マイクロシステムズが買収しました。
ネットワーク機器ベンダのシスコは、サーバ製品をラインナップに追加することで、ネットワーク機器ベンダから総合ITベンダへと新たな戦略をはっきりと打ち出しました。シスコのライバルだったネットワーク機器ベンダでは、ファウンドリーがブロケードに買収され、そのブロケードは業績が悪くなったわけでもないのに、どこかに買収されることを検討していると言われています。
サービスをプラットフォームとして考える
俯瞰で見れば、ITベンダがハードウェアやソフトウェアといった部品を提供し、それをエンドユーザーやSIerがシステムとしてくみ上げるという時代から、ハードウェアもソフトウェアもネットワークもコンサルティングも抱える総合ITベンダが、ITをサービスとして提供する、という方向へと変化していることは明らかです。
大手ITベンダが総合ITサービス提供ベンダに向かって戦略を進めていることと同時に、テクノロジーの面でもクラウドとそれを基盤にしたSaaSの提供により、ネットワークを経由して「サービスを提供する」という大きな変化がすでに始まっています。
現在進行しているこの状況の中で、SIerや個々のエンジニアはどのようにこれに対応していけばいいのでしょうか。はっきりしたことは言えませんが、システム開発の視点で見たときにはプラットフォームのあり方が変容していると考えるべきなのかもしれません。
いままではPCやサーバとOSやプログラミング言語がシステム開発のプラットフォームでした。これからはIT総合ベンダがそういったものを全部まとめて「サービス」という形で提供してくるとすれば、それをプラットフォームにして顧客に合わせてカスタマイズしたりマッシュアップしたり、あるいは足りないサービスを開発して提供する。サービスをプラットフォームとして考える、という方向に行くのでしょう。
同じテーマで書いた以前の記事「オープンシステムの幼年期の終わり - Publickey」もぜひ、併せてお読みください。