2010年はARMベースの「マイクロスライスサーバ」がくる! とAmazonクラウドの大御所は語る
低性能でスケールアウトに向いたサーバが活躍するときが来た。
マイクロソフトでデータセンターのアーキテクトとして活躍し、昨年アマゾンに移籍して現在はAmazon Web Servicesの上級エンジニアであるJames Hamilton氏が、自身のブログにエントリしたポスト「2010 the Year of MicroSlice Servers」でこう宣言しています。
Hamilton氏はこのエントリで、高価で高性能なサーバを仮想化によって分割して利用するよりも、安価で低性能なサーバをスケールアウトしたほうが、仮想化によるI/Oのオーバーヘッドが不要で、しかも価格性能比でも熱性能比でも優れていると以前から主張してきた、と書いています。
そして、インテル、デル、Rackable SystemsなどがMicroslice Server(マイクロスライスサーバ)と呼ばれることに取り組み始めたという例を挙げ(インテルの例、デルの例、Rackable Systemsの例)、もうすぐ低性能でスケールアウトに向いたサーバの時代が来る、としているのです。
ARMベースのサーバに注目
特にHamilton氏が注目しているのはARMベースのサーバ。今年の9月に発表されたARM Cortex-A9では、2GHzで稼働させた場合に1.9Wの消費電力とのことで、発熱や消費電力の点で従来のサーバよりも有利なようです。
Hamilton氏はARMベースのサーバについて次のように書いています。
ARMs are an even more radical application of the Microslice approach.
もちろん、すべてのワークロードがこうしたスケールアウトに向いている訳ではありません。
Simple web workloads and other partition-tolerant applications should look to scale-down severs.
単純なWebのワークロード、そして分割が容易なアプリケーションはスケールダウンに注目すべきだ
と、その用途を明確にしています。そしてこれらに合致するのであれば、スケールダウンサーバは価格性能比、熱性能比で驚くような結果をだすだろうとし、
2010 is the year of the low-cost, scale-down server.
と予想を締めくくっています。
データセンター向けと企業向けのサーバは分かれていくか?
ただしHamilton氏の予想はあくまでクラウドのような大規模なデータセンター内で採用されるサーバのことを指しており、企業内でのデータセンターにまでこうした傾向が発生すると指摘しているわけではなさそうです。
とすると、2010年からはクラウドを担う大規模なデータセンター向けのサーバと、企業内のデータセンターで複雑な業務アプリケーションを稼働させるサーバのアーキテクチャは、その用途別に徐々に分化していく、ということもあるのかもしれません。