10年ぶりにJavaScriptがついにバージョンアップへ、年内承認の見通し
10年ぶりにJavaScriptがバージョンアップする見通しとなりました。JavaScript(正式名称はECMAScript)の標準化団体であるEcma Internationalが4月9日に「Ecma International finalises major revision of ECMAScript 」というリリースを発表しています。ファイナルドラフトとなるドキュメント「final draft ECMA-262 5th edition」も公開されました。
新バージョンのECMAScriptはこれまでECMAScript 3.1と呼ばれていましたが、今後は名称が「ECMAScript 5th Edition」になるとのことです。そしてこれが一般的にはJavaScript 2.0と呼ばれることになるでしょう。
リリースからポイントを抜き出してみます。
The Candidate milestone designates that the authoring process is complete. This now begins a testing and validation phase of the project where TC39 members will create and test implementations of the candidate specification to verify its correctness and the feasibility of creating interoperable implementations.
今後のマイルストーンとしては、これで仕様を記述するプロセスは完了。これからテストと検証のフェーズにはいるとのこと。プロジェクトメンバーが仕様の最終候補版に沿ってテスト実装を行い、実際に問題がないかなどを確認することになります。
The test implementations will also be used for web compatibility testing to ensure that the revised specification remains compatible with existing web applications.
テスト実装では、今回のECMAScript新版が現在のWebアプリケーションとの互換性を備えているかどうかも確認する予定。
TC39 members Opera, Mozilla, and Microsoft have each committed to participating in this testing process.
このテストには仕様策定のプロジェクトメンバーである、オペラ、モジラ、そしてマイクロソフトが参加すると約束をしているそうです。
Testing is expected to be complete by mid-July 2009. It is anticipated that any technical errors and ambiguities will be resolved during this process, and that a final draft of the specification can be agreed upon in September for submission to the Ecma General Assembly for final approval in December 2009.
テストは2009年7月中旬に完了予定で、この期間中には発見された問題についても解決される予定。そして9月にはファイナルドラフトについての合意を経て、年内承認に向けて提出される見通しとのこと。
今回のバージョンアップでは、オペラ、モジラ、マイクロソフト、アップルといった主要なブラウザベンダーが仕様策定のプロジェクトに参加していますし、実装についてもこれから一斉にテストを行うとなれば、Webブラウザ間での互換性についてかなり改善されることを期待してもいいのかもしれません。
ECMAScript 5(旧ECMAScript 3.1)で何が変わるかについては、「次の JavaScript の仕様はこうなる! ECMAScript 3.0 から 3.1 への変更点まとめ - IT戦記」で詳しく説明されています。
また、なぜECMAScript 3.1になったのかという経緯については、「JavaScript 2.0はECMAScript 3.1ベースに、ECMAScript 4は譲歩 | マイコミジャーナル」が参考になるでしょう。
HTML5、CSS3、そしてECMAScript5(JavaScript 2.0)と、今年から来年にかけてはWeb標準がまとめて進歩することになりそうですね。