従業員の10人に1人は自前のノートPCを仕事に使っているらしい
デスクトップPCのシェアをノートPCが上回っているという話は以前の記事「企業向けPCの進化はシンクライアントに向かうか」で紹介しましたが、そのノートPCについて、海外の企業では10人に1人は自前のノートPCを仕事に使っているらしい、という調査結果が米調査会社のガートナーから発表されています。
アメリカ、イギリス、ドイツの企業を対象にした調査によると、仕事に自前のノートPCを使う割合は増えてきており、2009年には10%、2010年半ばには14%にまで上昇するとのことです。
企業はこうした状況に対して数年前から企業内で自前PCを使うにあたってのポリシーを策定しはじめているものの、それは「自由に使ってよい」というものから「禁止する」というものまでさまざまですが、徐々に許可する方向でポリシーを策定する方向に向かっていると、ガートナーのアナリストは発言しています。
また業種や国によって、自前ノートPCを許すかどうかが違っているとのこと。アメリカとイギリスでは企業の3割しか許可していないのに対し、ドイツでは6割の企業が許可しているそうです。
The Gartner survey found that service companies, such as insurance and telecommunications companies, are more likely to allow employee-owned PCs than organizations in the manufacturing, wholesale or government sectors. There were also differences from a country point of view with 60 percent of the German companies in the sample currently allowing the use of employee-owned PCs versus only 30 percent of U.S. and U.K. companies.
ガートナーの調査では、保険や通信などサービス系の企業は、製造、小売り、政府などに比べて自前のPCを許可する傾向が高い。また、国によっても異なり、調査した企業の中でドイツは6割の企業が許可しているのに対し、アメリカやイギリスは3割しか許可していなかった。
仕事とプライベートの境界線がなくなれば認めざるを得ないのでは
企業が業務に利用するPCを規定するのは主に2つの理由があって、それは生産性とセキュリティです。しかし、セキュリティと生産性のどちらに重点が置かれるかといえば明らかにセキュリティでしょう。
しかし、いまや仕事はノートPCだけでなくスマートフォンでも行えるようになってきていますから、自前のデバイスで仕事をする機会はますます増えますし、リモートアクセスや電子メールなどのコミュニケーションで、仕事とプライベートの境界線もあいまいになってきています。こうした状況で、あらかじめ企業が指定したデバイスだけを使って仕事をせよと規定することはどんどん難しくなってきている傾向があるのは明らかです。
それに対して、自前のノートPCやスマートフォンでもセキュアに仕事を可能にする技術、主にソフトウェアによって構築されるソリューションは少しずつ登場しています。例えば、仮想化ベンダがクライアントPC用に提供する仮想化技術によって、仕事用とプライベート用を区分けできる技術などが登場し始めています。
恐らくはそうしたデバイス上で利用する技術と、業務アプリケーションそのものに組み込まれる認証や暗号化などを含むセキュリティ技術をうまく組み合わせて、自前のノートPCやスマートフォンでも安心して仕事ができるソリューションというのが今後求められていくのではないでしょうか。