LaTeXを使った数式の入力がWordやPowerPointで可能に。マイクロソフトが明らかに(追記あり)
来月のOffice 365のアップデートによって、WordやPowerPointでLaTeXを用いた数式の入力が可能になることが、Microsoft Officeの開発エンジニアのブログに投稿された記事「LaTeX Math in Office」で明らかになりました。
ブログには「Next month you’ll be able to use LaTeX math in Office 365 math zones.」(来月には、Office 365の数式枠でLaTeXの数式が使えるようになる)と書かれています。
Wordで数式を入力するモードにしたときのリボンメニューには、下記のように「LaTeX」の項目が追加されることが示されました。
日本語版のOffice 365やWordの対応や時期については、現在日本マイクロソフトに確認中です。確認され次第、この記事に追記します(下記、追記しました)。
追記:本件に関する日本マイクロソフトからのコメントは「お伝えできるのは現在の公開情報のみ」でした。日本語版Office 365などについての情報はもらえませんでした。(2017/8/2)
参考記事
マイクロソフトは「Microsoft 365」を発表しました。Microsoft 365は、Office 365とWindows 10、そして企業向けのセキュリティ機能とモバイル機能を統合し、月額料金体系で提供するというものです。
PowerPointやOneNoteはややこしい方法でLaTeXを有効化
Wordだけでなく、PowerPointやOneNoteでもLaTeXを用いた数式入力が可能になるとされていますが、入力方法は少しトリッキーになるとのこと。説明が長いので最初のところだけ引用してみます。
Currently, it’s trickier to enable LaTeX in OneNote and PowerPoint since you need to define a new math autocorrect control word to change the input mode. Type alt+= to enter a math zone and on the math ribbon click on the lower right corner of the Tools section.
現時点では、OneNoteとPowerPointでLaTeXを有効にするのは少しトリッキーな方法になる。というのも、入力モードを切替えるために新しい数式自動修正コントロールワードを定義する必要があるからだ。まずalt+=をタイプして数式枠を表示し、数式モードのリボンメニューのツールセクションの右下コーナーをクリックする。
実際に日本語版で利用可能になれば日本語での詳しい説明が示されると思いますが、上記を読むかぎり、PowerPointとOneNoteでの利用法はややこしそうです。
LaTeXは長い歴史を持つ組版ソフトウェア
LaTeX(ラテック。あるいはラテフやレイテックと読む人もいるようです)は、組版(くみはん)、すなわち文書や数式を紙や画面上で読みやすく美しくレイアウトするためのソフトウェアです。もともとTeXと呼ばれる組版システムから派生したもので、TeXよりも手軽に組版を行えるようになっています。
TeXやLaTeXは、現在では主流となっているWYSIWYGな組版用ソフトウェアやDTPソフトウェアが登場する以前から、テキストベースの組版ソフトウェアとして使われてきた長い歴史があり、しかもさまざまな数式を美しく組版できるという特長を備えています。そのため、いまでも論文などの作成に使われています。
Office 365でLaTeXによる数式入力が可能になることで、これまでWordやPowerPointなどでの数式入力に苦労してきた大学や研究者などのユーザーへの利便性の高まりが期待できるでしょう。
ちなみに筆者の新野は1980年代後半にアスキーという会社に入社したおかげで、当時アスキーが日本語化していたUNIXとviとLaTeXで社内の議事録などをたくさん書いていました。そんなことを思い出しました……。
参考記事
Jupyter Projectは、オープンソースの統合開発環境「JupyterLab」をベータ版として公開したことを発表しました。
Googleは6月26日(現地時間25日)、米サンフランシスコでイベント「Google I/O 2014」を開催。基調講演でGoogle Appsの新機能「Native Office Editing」を発表しました。
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