EMCがクラウドストレージ戦略を強化、クラウドストレージゲートウェイの「TwinStrata」を買収
保存されている内容を自動的にクラウドへ転送する機能を持つストレージ、いわゆるクラウドストレージゲートウェイのベンダ「TwinStrata」を、EMCが買収したことをTwinStrataが明らかにしました。
パブリッククラウドのストレージをオンプレミスのバックアップに利用することは、クラウドの典型的な利用法の1つです。オンプレミスのストレージに保存した内容を自動的にクラウドへ転送してくれるクラウドストレージゲートウェイは、パブリッククラウドの利用を促進するものとしてクラウドベンダ側が積極的な展開を見せていました。
Amazonクラウドは2012年に「AWS Storage Gateway」を発表。サーバをストレージアプライアンス化するソフトウェアで、このストレージに保存した内容は自動的にAmazon S3に保存されるようになっています。
マイクロソフトも2012年にハードウェアとしてクラウドストレージゲートウェイを提供していた設立わずか3年のStorSimpleを買収し、オンプレミスとMicrosoft Azureとの連係に活用しています。
日本国内でもクラウドストレージゲートウェイは複数のクラウドベンダがパートナーなどと提携して提供しています。
クラウドベンダによるクラウドストレージゲートウェイの提供は、いわばストレージベンダの領域にクラウドベンダが乗り込んできた形でした。
クラウドストレージゲートウェイ機能をEMCの新製品へ統合
EMCが買収したTwinStrataも、クラウドストレージゲートウェイを提供してきたベンダの1つです。同社製品の「CloudArray」は、ソフトウェアによる仮想ストレージアプライアンスと物理的なストレージハードウェアの両方を揃えています。
「CloudArray」はオンプレミス用のストレージとしてiSCSIやNFS、CIFSなどでアクセス可能な一方、保存されたデータを対応する20以上のクラウドに対して自動保存、あるいは保存したデータをクラウドから別のクラウドへ移動する機能などを備えています。
そしてこのクラウドストレージゲートウェイの機能は、同日に発表されたEMCの新製品であるVMAX3に統合されることも明らかにされました。以下はTwinStrataのCEO兼共同創立者のNicos Vekiaridesによる買収の発表「A Letter from TwinStrata’s CEO」からの引用です。
Working together as part of EMC, we are looking to integrate CloudArray into the new VMAX3 enterprise data service platform to allow you to automatically tier workloads even more seamlessly for off-premise storage capacity expansion, data protection and disaster recovery.
EMCの一部として、私たちはCloudArrayを新製品のVMAX3エンタープライズデータサービスプラットフォームに統合し、階層ワークロードの自動化や、よりシームレスなオフプレミスストレージの容量拡張、データの保護やディザスタリカバリを可能にしていきます。
EMCによるTwinStrataの買収と同社製品への統合は、ストレージベンダが自社製品の付加価値としてパブリッククラウドの機能を組み込み始めた、その第一歩です。それをクラウドベンダと組んでサービス化するといったやり方ではなく、クラウドストレージゲートウェイの企業を買収することで始めたと言うことは、パブリッククラウドは顧客からは抽象化されたブラックボックスのままにしておき、それによってストレージ領域での主導権を持ち続けたい、という同社の姿勢の表れではないかと思えます。
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