SDNとアプリケーションの連係で何ができるか。日本HP、SDNコントローラとSDNアプリケーションマーケットを発表
ネットワークの構成や機能をソフトウェアによって柔軟かつ動的に変更できるSoftware-Defined Networking(SDN)が普及することで、アプリケーションの動作に応じてネットワークが適切に構成されるような、アプリケーション対応ネットワークの登場が予想されます。例えば、テレビ会議が開始されたら優先的に帯域を使いQoSを管理する、あるいはサーバへの不正侵入が検知されたらルータのレベルで自動的に遮断するといった、アプリケーションとネットワークの連係です。
日本ヒューレット・パッカードは、こうしたSDNを実現するためのSDNコントローラ「HP Virtual Application SDN Cotroller」(以下、HP VAN SDNコントローラ)と、HP VAN SDNコントローラに対応したアプリケーションストア「HP SDN App Store」の開設予定を発表しました。
HP VAN SDNコントローラは、ネットワーク機器に対してはOpenFlow 1.0/1.3プロトコルなどで制御を行い、アプリケーションや上位の管理ツールなどからはRESTやJava APIなどで機能を呼び出せるソフトウェア。
HPはSDN開発キット(SDK)を「HP SDN Dve Center」で配布。開発者ガイドやサンプルコードのほか、SDNシミュレーターなどのテスト環境が含まれます。
SDNアプリストアを開設予定
2014年上半期に開設予定の「HP SDN App Store」でアプリケーションの例としてHPが公開しているのが、マイクロソフトのコラボレーションツールであるLyncとSDNコントローラを連係させた例です。
Lyncで従業員同士が画面を共有して作業を開始すると同時に、SDNコントローラがLyncと連係して従業員同士のネットワーク帯域を拡大、QoSで品質を維持するように設定することで、快適なコラボレーションを実現するというもの。
こうしたアプリケーションをSDNコントローラのSDKなどを用いて開発し、それをオンラインで販売。ユーザーがSDNコントローラ環境に導入するだけですぐに活用できるようになると説明されています。
Northbound APIの標準化に対応する見通し
HP VAN SDNコントローラに対応したアプリケーションは、HPのSDN専用になってしまうのではないか、という懸念に対して、日本HP HPネットワーク製品・オペレーション部の尾崎亨氏はAPIの標準化に対応していくと、次のように答えています。「Open Networking FoundationでNorthbound APIの標準化が始まっており、その議長にHPの社員が就任しています。ですから標準化が進むにつれ、HPのSDNコントローラのAPIもそうなっていく可能性が非常に高い」
Northbound APIは、SDNコントローラを利用するためのAPI一般を指します。尾崎氏の言うように今年の10月にOpenFlowの標準化団体であるOpen Networking FoundationでNorthbound APIのワーキンググループが発足しています。標準化は緒についたばかりですが、HPが早い時期からSDNアプリケーションのマーケットという取り組みに乗り出した点は注目されます。
SDNの大きな強みの1つがアプリケーションやサーバなどとネットワークが有機的に連係できる点にあります。そのためには幅広いエコシステムが不可欠です。他のネットワークベンダも遅かれ早かれ同様の取り組みに乗り出してくることでしょう。
日本HPはあわせて、仮想ルータの「HP Virtual Services Router」、ネットワーク全体を管理するための「HP VAN SDN Manager」、SPBやTRILLで構成されたネットワーク基盤を統合管理する「HP VAN Fabric Manager」なども発表しています。
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