超高速開発はスクラッチ開発の3倍から10倍の開発効率が条件、競合するベンダ13社が利害を超えて「超高速開発コミュニティ」を設立
ソースコードの自動生成やカスタマイズ、ビジュアルプログラミングなど、スクラッチからプログラミングにより開発するよりも短期間で容易にシステム開発を実現するツールや開発手法を持つベンダが13社集まり、「超高速開発コミュニティ」を結成しました。
コミュニティが目指すのは、ユーザーに対してこれら「超高速開発」を名乗るツールの浸透をはかり、使ってもらうこと。「ユーザー企業がITをベンダに丸投げするシステム開発から脱却する道筋が描けるのではないかと期待している」(コミュニティ会長の関隆明氏)。また、これまでシステム開発に参入していなかった上流プロセスのコンサルタントがシステム開発に参入することなども期待しているとのこと。
コミュニティはこれからユーザー企業の参加を積極的に呼びかけ、当面200社の参加が目標。超高速開発を自社の強みにしたいと考えるSIerなどの参加も想定しています。
活動として予定されているのは、Webサイトによる情報提供、月2回のメールマガジン発行、コミュニティ主催のイベントやセミナー、展示会への共同出展など。
参加ベンダーも今後増やしていく方針で、その場合には「スクラッチの開発と比べて3倍から10倍程度の開発効率を具体的に説明できるツールや方法論を持っていること」(ジャスミンソフト代表取締役 贄良則氏)を超高速開発コミュニティへの参加条件としていくと説明されました。
なんとなく怪しい、使いにくそう、といった懸念を払拭できるか
通常のプログラミングよりも高い開発効率を実現するとしたツールや方法論は、広く見ればかつて流行した第四世代言語から最近のRuby on Railsなどのフレームワークまで、さまざまなものが登場してきました。しかしエンタープライズでそれらが主流になったことはこれまでありません。
それは、従来のプログラミング言語で開発をしてきたエンジニアから見て、これらのツールが本当に宣伝文句のような生産性を実現できるのかどうか、ある種の「怪しさ」を感じたり、あるいはツールを使いこなすために独自の技術を覚えなければならなかったり、想定用途を外れると途端に使いにくくなるといったデメリットが目についたからだといえます。
今回設立された超高速開発コミュニティが主にユーザー企業を巻き込むことにフォーカスしているのは、こうした先入観を持たず、できるだけ速く低コストに解決したい課題を具体的に抱えているユーザーに直接アプローチした方が、ツールを活用してもらいやすいと考えたためでしょう。それを効果的に行うために、ベンダが競合関係を超えて協力していく方がいいと考えるのは理にかなっています。
超高速開発コミュニティでは、どのような用途にどのツールや方法論が向いているのか、ユーザーに分かりやすいガイドラインを11月頃に作成し公開する予定としており、ユーザーが適切に選択できる支援をしたいとのことです。
超高速開発コミュニティ設立企業とツールや方法論
株式会社アイエルアイ総合研究所:StiLL-X
株式会社アトリス:PEXA
インフォテリア株式会社:ASTERIA WARP
株式会社ウイング:GeneXus
株式会社オープンストリーム:Biz/Browser
キヤノンソフトウェア株式会社:Web Performer
ケン・システムコンサルティング株式会社:XupperII
サピエンス・ジャパン株式会社:Sapiens
株式会社ジャスミンソフト:Wagby
株式会社BlueMeme:OutSystems Platform
株式会社フロンテス:STAR-ATT/STAR-Lite
マジックソフトウェア・ジャパン株式会社:Magic xpa Application Platform/Magic xpi Integration Platform
有限会社ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所:ユニケージ開発手法
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