クラウドとOpenFlowとファブリックの関係
ファブリック技術とSDN(Software Defined Network)をテーマにした「第3回 クラウドネットワーク研究会」が、先週3月1日木曜日に開催されました。
クラウドを背景にOpenFlowのような技術がなぜ登場し、ネットワークはどのように変わっていくのか。勉強会で行われた3つのセッションから、その姿が見えてきます。この記事ではそのポイントをまとめてみました。当日の資料は、クラウドネットワーク研究会のWebサイトで公開されています。
SDNソリューション “Midonet”の最新情報
ミドクラ 加藤隆哉氏。
システムが複雑化して、ネットワークがクラウドのボトルネックになっている。特にマルチテナントのクラウドでは、セキュリティドメインを切ったり、VLANの4096の制限があって大変。
ビジネス側から見ても、変化の速さにインフラが追随できていない。そのためにSoftware Defined Network(SDN)やOpenFlowへの興味が高まっている。
MidoNetはもともとネットワークのOSを作ろうとしていた。OpenFlowにも対応していて、L2からL4までの仮想化が終わって、もっと上のレイヤまで仮想化しようとしている。
MidoNetが何を目指しているかというと、バックボーンとメッシュのスイッチを並べたら、あとはソフトウェアで駆動できるようにする、というやり方を誰でも使えるようにすること。
ファブリックテクノロジーが必要な背景と実装技術の簡単な比較
ブロケードコミュニケーションズシステムズ 高井浩一氏。
データセンター内のトラフィックは、インターネットとサーバのあいだのトラフィック(North-South)よりも、仮想マシンのあいだ、ハイパーバイザとストレージのあいだのトラフィック(East-West)のほうがずっと多い。
これに対応するには、L2はできるだけシンプルで拡張性が高いもの、そして低コストで実現するにはいままでのSTP(Spanning Tree Protocol)ではなく、ECMP(Equal Cost Multi Path)が必要。
それによって実現されるのがファブリックで、そのための技術としてSPBやTRILLがある。
たとえSDNが実現されても、マルチパスは不可欠で、ブロックポートの解消も必要。SPBもTRILLも共通の課題を解決するための選択肢であり、要件に応じた適切なファブリック技術の選定が求められる。
OpenFlow/FatTree/仮想化技術はこう使いこなす
日商エレクトロニクス 坂田義和氏。
OpenFlowには、「Hop-by-Hopモデル」と「Network Hypervisorモデル」の2つの利用モデルがある。Hop-by-Hopモデルを実現するには対応機器への入れ替えが必要だが、最近、真のマルチベンダープラットフォームとしてNetwork Hypervisorモデルが注目されている。Niciraなどが採用している方法だ。
このモデルは、ネットワークをエッジでコントロールすることで仮想ネットワークを作り、マルチテナントでのネットワーク運用の自動化を実現する。
しかし多くのデータセンターがいま採用しているツリー構造のネットワークはトラフィックのボトルネックになっている。このボトルネックはファブリック技術を採用することで解決する。
ネットワークの仮想化、運用の自動化を実現するNetwork Hypervisorモデルと、トラフィックのボトルネックを解決するファブリック技術の組み合わせで、最適なエンタープライズネットワークの構築が実現可能となる。
Hop-by-Hopモデルも非常にいい技術でいろんなところで使われると思うが、個人的にはデータセンターのようなポート密度の高いところではなく、エンドユーザーのところなどで使われるのではないかと考えている。