NTTコミュニケーションズが「Cloudn」でパブリッククラウド本格参入。個人も利用可能で月額945円から、Amazon互換API、日米データセンター展開など
NTTコミュニケーションズとグループ会社である米Verioは、Amazonクラウドのようにクレジットカードで申し込んですぐに使え、各種APIからの操作も可能とするパブリッククラウド市場への参入を発表しました。日米のデータセンターで展開しつつ低価格であることもアピールするなど、本気でグローバルなクラウドプレイヤーと競合しようという意気込みです。
発表されたのは、オープンソースのクラウド基盤「CloudStack」を採用したパブリッククラウドの「Cloudn」(クラウド・エヌ。このように右上にnがくるのが正式表記とのこと)。3月30日から提供開始となります。
従量課金制ながら月額に上限。20分で利用可能
Cloudnでは仮想サーバの課金に従量課金制ながら月額に上限を設けており、いちばん安い0.25vCPU/512MBメモリ構成の「プランvQ」の月額上限は945円。2vCPU/4GBメモリ構成の「プランv4」の月額上限は7560円。どの構成でもルートディスクとしてLinux OSで15GB、Windows Serverで40GBが含まれています。
テンプレートとして用意されているOSは、CentOS、Ubuntu、Windows Server 2008。データ転送量は無料、ファイアウォール、ロードバランサーの利用も無料。
仮想マシンの起動や停止、追加ディスクの設定、スナップショットの取得など、クラウドに対する基本操作はWebブラウザ上のコンソール画面から行います。
ソフトウェアでクラウドを操作するAPIも豊富に用意されており、仮想サーバの起動、停止、仕様変更やディスクの設定、スナップショット、ネットワーク構成など、一通りの操作が可能。
申し込みはすべてオンラインで行い、利用規約に同意するところから20分程度で仮想サーバの作成が可能になるとのこと。課金はクレジットカード、個人でも申し込み可能です。
7月にはPaaSの提供も
サービスの提供開始は3月30日から。まず米国のデータセンターから提供され、6月には国内のデータセンターからも提供開始予定。
Cloudn自体の機能強化も予定されており、4月にはオートスケール機能、7月にはCDN連携機能、10月にはオブジェクトストレージ機能を追加予定と発表されています。
さらにIaaS型クラウドだけでなく7月にはPaaS型クラウドサービスのトライアルサービスも計画中とのこと。NTTコミュニケーションズはNTTなどと共に「日本Cloud Foundryグループ」を先月設立したばかり。同社が以前からCloud Foundryのオープンソースによる開発に積極的に取り組んでいることはCloud Foundryのコミュニティに参加すれば一目瞭然で、おそらく7月に開始予定のPaaS型クラウドではCloud Foundryが採用されると考えるのが自然でしょう。
本気のゆくえと雪辱戦
Cloudnは、日米でのデータセンター展開、豊富なAPI、クレジットカードからの申し込みと低価格、そしてPaaS展開の計画など、NTTコミュニケーションズが本気でこれをグローバルなクラウドプレイヤーと競合するサービスにしようという意気込みが伝わってきます。
先にCloudStackを採用したクラウドサービスを提供しているIDCフロンティアでは、先日RightScale対応を発表しましたので、おそらくCloudnもRightScaleに対応するなど、さまざまなクラウドサービスで利用され始めたCloudStackのエコシステムも活用してくることでしょう。
と同時に、NTTコミュニケーションズと共同でこのサービスを提供する米Verioは、昨年2011年5月にストレージ障害を起こしてサービスが終了となったNTTPCコミュニケーションズのクラウドサービス「CLOUD9」の開発元でもあります。Verioにとっては雪辱戦と位置づけられているのかもしれません。
日本有数の大手企業による本気のクラウドサービス提供のゆくえ、そしてその米グループ会社の雪辱戦という二重の意味で、Cloudnの今後を見守りたいと思います。
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