次世代の不揮発性メモリMRAM、ReRAMなどが製品として相次いで登場
現在のところ、不揮発性メモリはNAND型フラッシュメモリが主流ですが、より高速で信頼性の高いMRAMやReRAMなど次世代の不揮発性メモリの製品化のニュースが今月に入り続けて報じられています。
MRAM、ReRAMが相次いで市場投入
DRAMの代わりにMRAM(Magnetoresistive RAM、磁気抵抗変化メモリ)をキャッシュメモリに使ったSSDを初めて製品化するのはバッファローです。EE Times Japanが先々週報じています。
バッファローメモリは、MRAM(磁気抵抗変化メモリ)をキャッシュメモリとして使った産業分野向けSSDを開発し、特定顧客を対象にしたサンプル提供を開始した。「MRAMを搭載したSSDの製品化は業界初」(同社)という。4Gバイトと8Gバイトの品種があり、サンプル価格は4Gバイト品が8万円程度、8Gバイト品が10万円程度。2012年7月上旬に量産を始める予定である。
同じくEE Times Japanは先週、ReRAM(Resistance RAM、抵抗変化メモリ)をスマートメーターやスマートフォンなどのマイコン向けにパナソニックデバイスが採用したことを報じています。
ReRAMはNAND型フラッシュメモリなどと比べて低電流、短時間でデータの書き換えを実行できる性質がある。今回のマイコンでも同社のフラッシュマイコンと比べて5分の1の時間でデータを書き換えられるという。
2012年5月末までに同マイコンのサンプル出荷品を用いた「評価用スタータキット」の提供を開始するそうです。
メモリの不揮発化に向けたソフトウェアも登場
どちらもまだ特定業種、特定用途向けの小規模なものですし、これらの不揮発性メモリがDRAMを本格的に置き換えていけるものなのかどうなのかは明らかではありません。しかし新たな不揮発性メモリの登場は、コンピュータの進化を期待させるものがあります。
より高速で高信頼な不揮発性メモリが登場し、それによってメインメモリがDRAMから置き換えられていくのは、これからのコンピュータの進化にとって順当なシナリオではないかと思います。データを保存するために二次記憶装置を使うのではなく、メインメモリがそのままデータの保存に使えた方がシンプルで高速なコンピュータになると考えるのは自然なことでしょう。
すでにFusion-ioは、NAND型フラッシュメモリをベースにした同社製品を用いて不揮発性メモリのアーキテクチャをエンタープライズ分野で実現し、主導権を握ろうと動き始めています。
- Fusion-io、10億IOPSの新技術「Auto Commit Memory」発表。ストレージなんてレベルじゃない、パーシステントなメモリだ
- Fusion-ioは単なる高速ドライブではない。フラッシュを拡張メモリ領域として利用できるSDK公開。内部へネイティブアクセス可能に
APIを普及させ、それを利用したアプリケーションが広まれば、新しいデバイスが登場してもAPIレベルの互換性を保てば顧客の資産を保全しながらより高性能な製品を利用し続けてもらえる、というわけです。
ハードウェアレベルでもソフトウェアレベルでも、不揮発性メモリをめぐる動向は徐々に活発さを増しているように見えます。
あわせて読みたい
一番クラウド化したいのはストレージ、実際にもっともクラウド化されているのはメール、プライベートクラウドへの移行は時間がかかる。シスコの調査から
≪前の記事
米ヒューレット・パッカード、PUE1.05の最新データセンターを丸ごと販売開始。「HP Performance Optimized Datacenter 240a」