DevOpsを実践する企業に共通すること。DevOps Day Tokyo 2012
DevOpsに関する国内最大のイベントとなった「DevOps Days Tokyo 2012」が5月26日に都内で開催されました。
これまで国内でDevOps関係のイベントは何度か開催されてきましたが、今回のイベントは世界中で開催されているイベント「DevOps Days」の東京開催で、海外からDevOpsムーブメントの中心になっていると言っていいゲスト2人を招き、100人以上の参加者が集まるという大きなイベントでした。
主要な講演の1つ、John Wills氏による「Introduction to the DevOps movement」のハイライトを紹介します。
Introduction to the DevOps movement
EnstratusのJohn Wills氏。
昨日、Jay(本イベントの司会で中心人物の堀田直孝氏)と、DevOpsの定義ってなんだろうね、という話をしていて、それは「開運」じゃないかということになり、じゃあ開運のスライドからはじめようと。
InstagramはDevOpsの非常にいい例で、2年で300万ユーザーになってFacebookに10億ドルで買収された。彼らは2人しかエンジニアがいなくて、DevOpsを実践していた(参考:「バックエンドの経験はなかった」Instagram創業者は、どうやってシステムをスケールさせてきたか)。
同じようにDropBoxは5000万以上のユーザーを過去3年で獲得している。
NetFlixは100%クラウドで運用しており、Amazonクラウド上で平日には11.6秒ごとにサービスのデプロイが行われているという。
DevOpsを実践している企業に共通すること
これらに共通しているのは、つねにKaizenをしていることだ。これは日本に端を発したTPS(Toyota Production System、トヨタ生産システム)などと同じで、DevOpsの考え方もつねに刀を研ぎ続けるということだ。
そしてMudaをなくし、Mura、つまり在庫を減らすということになる。そのためにクラウドを使っていく。
MuriをDevOpsの観点で言うと、過剰に負担がかかるということだ。そのためにはコンフィグレーションマネジメントが求められるようになりChefやCrowberといったツールへつながっていく。
また技術的な特徴として、クラウド、あるいはクラウド的なインフラを利用すること、オープンソースを使うこと、アジャイル開発を実践していることなどもあげられるだろう。
これはガートナーによるDevOpsの定義だが、私はこの3番目の説明がいちばん気に入っている。それは「クラウドコンピューティングによって強く影響を受けたインフラストラクチャー技術のルネッサンスである」というものだ。
Damon Edwardsと一緒にやってるPodcastの「DevOps Cafe」で、私たちはDevOpsの特徴を以下の頭文字をとって「CLAMS」と言っている。
- Cluture:カルチャー
- Lean:リーン
- Automation:オートメーション
- Measurement:計測
- Sharing:共有
DevOpsが目指すものをシンプルに言うと、「ビジネスの価値をつねに高めていこうとするITでの活動」だ。
DevOpsの理念とは
だれかにDevOpsを伝えるとすれば、この図がそれだ。左側にはビジネスのアイデアがあり、それを右側のマネーにつながる。その間にITとしてDevとOpsがあるが、その間にはアイデアをお金つなげるための壁があった。
この壁を取り外し、アイデアからマネーのあいだをもっと短く、速くしようというものだ。
DevOpsをもっと明確に説明するとすれば、無駄の7つの大罪としよう。
- Transportation:マニュアル操作や承認を減らすべき。
- Inventory:リソースに負担をかけすぎず適切な在庫を持つ。リソースのJust in Timeのためにクラウドを利用していくべき。
- Motion:無駄な動きをなくす。できるだけ自動化やセルフサービス化を行う。
- Waiting:待ちをなくしフローを管理する。Kanbanがいい例だ。
- Over-proccessing:やり過ぎをなくし、客が本当に必要とするものだけMinimal Valuable Product(MVP)を作る。
- Overproduction:全体を最適化して作りすぎをなくす
- Defects:欠陥、痛みの発見を後回しにしない。間違ったままずっと作っていくと、そこが無駄になってしまう。
また、文化の理念についても挙げられる。
- ロックスターはいらない
- 失敗から学び、いい失敗者になることは競争優位に役立つ。
- 人のせいにしない。
- 自分が被害者だといわない。
- ゴールに集中するために計測値を使う。
- ゴールを共有しよう
DevOpsにおける開発について。
運用については、MTTR(Mean Time to Repair)つまりどれだけ早く復旧できるかが大事になっている。壊れることを予期しておくことが大事だ。
話はもっとあるのだが時間がきたので、続きはオープンスペースで話そう。
以下は当日のUstreamのアーカイブ。
当日のスライド。
DevOps Days Tokyo 2012
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