ヒューレット・パッカードもパブリッククラウドへ参入。OpenStack採用でIaaSを提供
米ヒューレット・パッカードは、OpenStackを採用したパブリッククラウド「HP Cloud Services」のプライベートベータを開始したと発表しました。
HP Cloud Servicesは、同社のハードウェアおよびソフトウェアと、オープンソースで開発されているクラウド基盤ソフトウェアのOpenStackを統合したもので構築されたと説明されています。提供されるサービスは2つ。
「HP Cloud Compute」は、Amazon EC2のようにオンデマンドでサーバのインスタンスを提供するサービス。
「HP Cloud Object Storage」は、Amazon S3のようにスケーラブルなオブジェクトストレージを提供するサービス。
また、同サービスはアジアへの展開も計画しているが、時期については未定とのこと。
世界のサーバベンダ上位3社がパブリッククラウドへ参入
ヒューレット・パッカードは以前からクラウドへの参入を明らかにしていましたが、実際に今回のプライベートベータが開始されるまでには多少の紆余曲折があったように見えます。
同社は今年1月、「HP Enterprise Cloud Services-Compute」と呼ばれるクラウドサービスを発表していました。しかしこのサービスは発表後の具体的な動きがないまま半年が経過します。
6月に米国で開催されたイベント「HP Discover 2011」の基調講演でレオ・アポテカー CEOが「夏にパブリッククラウドを開始する」と語るもそれ以上の具体的な発表はなく(プレスリリースもなし)、7月にやや唐突にOpenStackへの協力を発表、2カ月後に今回のプライベートベータとしてOpenStackをベースにしたHP Cloud Servicesが立ち上がりました。
この流れを見ると、昨年の10月にレオ・アポテカー氏が新CEOに就任したあとでクラウド戦略をずいぶん見直したのかもしれません。
一週間前にはデルのパブリッククラウド参入が発表されたばかりで、今度はヒューレット・パッカードも参入、すでにIBMはパブリッククラウドへ参入しているため、これで世界のサーバ市場の上位3位がパブリッククラウドへの参入を宣言したことになります(合算シェアにしておおむね7割以上)。
これはつまり3社とも、ハードウェアリソースの「所有から利用へ」という流れにサーバベンダとして対応するには、パブリッククラウドへ参入するしかないと判断した結果です。しかし3社のアプローチはずいぶん異なっています。
IBMは独自のソフトウェアで構築したクラウドでIaaS、PaaSなどをグローバル展開。デルはVMwareを採用したクラウドを展開し、今後OpenStackやWindows Azureも採用予定とマルチベンダー的展開。一方のヒューレット・パッカードはVMwareとはやや距離を置いた戦略を以前からとっており、オープンソースであるOpenStackを最初の選択肢としました。
もちろん、パブリックラウドの世界にはAmazonクラウドという先行者がおり、そのほか数多くの競合がひしめいています。数年後にこの戦略がどういう結果になっているでしょうか。