Eucalyptusの新バージョンは単一障害点を解消、CloudStackは有償版をオープンソース版に一元化
AmazonクラウドとAPI互換のプライベートクラウドを構築できるソフトウェア「Eucalyptus」の新バージョン、「Eucalyptus 3」が発表されました。
Eucalyptusはクラウド基盤構築のためのオープンソースソフトウェアとして初期に登場したソフトウェアの1つ。それゆえに注目されてきたと同時に、アーキテクチャの点でスケーラビリティや信頼性などは後から登場してきた同種のソフトウェアの方が優れていると評価されてきた面があります。
Eucalyptus 3では単一障害点を解消するアーキテクチャを採用。クラウド内のどの物理サーバやディスク、ネットワークなどがダウンしても、即座にフェイルオーバーするようになったと説明されています。これによって高い高可用性を実現しています。
またAmazonクラウドのIdentity and Access Management (IAM) に相当するAPIを新たに用意し、ユーザーのグループ管理やリソース管理などを可能にするとともに、企業内のユーザー管理と連係しやすいようにLDAPやActive Directoryにも対応しました。
Eucalyptus 3は今年の第4四半期にリリース予定です。
オープンソース版に一元化し、企業向けも視野に入れたCloudStack
Eucalyptusと同様にクラウド基盤を構築するシトリックス・システムズのソフトウェア「CloudStack」は、これまで分かれていたオープンソース版と有償のエンタープライズ版を、オープンソース版に一元化することを明らかにしました。
またCloudStackはハイパーバイザとしてvSphere、OracleVMへの対応も加え、XenServer、KVMなどマルチハイパーバイザ対応を広げていくことも明らかにしました。マイクロソフトのHyper-Vにも対応予定です。
シトリックスはCloudStackを、仮想化市場のリーダーであるVMwareの顧客に向けたソフトウェアとして次のようにリリースの中で書いています。
CloudStack eases the financial impact associated with the “vTax,” the term used by many in the cloud and virtualization communities to refer to the latest update to the VMware vSphere 5 licensing model that added costs to customers’ existing cloud and virtualization implementations.
CloudStackは“vTax”と呼ばれている料金面でのインパクトを軽減します。このvTaxとは、仮想化コミュニティの中でVMware vSphere 5のライセンスモデルのことを指す用語で、既存の顧客の仮想化やクラウドの実装に追加コストが発生することを示しています。
Eucalyptusはプライベートクラウド構築にフォーカスしており、CloudStackはクラウド事業者向けにフォーカスしているという特徴がありますが、このメッセージを見るとシトリックス買収後のCloudStackは企業がプライベートクラウドを構築する用途としても売り込もうとしているようです。
CloudStackのVMware対応はすでに済んでおり、OracleVM対応は10月、Hyper-V対応は第4四半期の予定です。