オラクル、マーク・ベニオフ氏の基調講演を突然キャンセル。ツイートが気に入らなかった? Oracle OpenWorld 2011
日本時間10月5日水曜日の朝に、セールスフォース・ドットコム CEOのマーク・ベニオフ氏が、こんなツイートをしました。
「ラリーが明日の僕の基調講演をキャンセルしたんだ」
Larry just cancelled my keynote tomorrow! Sorry #oow11! Join me @ St. Regis AME Restaurant at 10:30AM! The cloud can't be stopped! #DF11
マーク・ベニオフ氏は、サンフランシスコで開催中のOracle OpenWorldにおいて水曜日朝10時の基調講演に登場予定でした。それがオラクルによってキャンセルされたとのこと。
前日に「講演を木曜日朝に移動する」と突然通告
この件はThe Wall Street Journalの記事「Oracle Buries Benioff, Salesforce Tweets Defiance」やNYTimes.comの記事「Benioff Enjoys the Spotlight, Even When It Is Turned Off」で取り上げられています。
これらの記事によると、オラクルは次のような理由で前日にセールスフォースに連絡をしたと。
“Due to the overwhelming attendance at Oracle OpenWorld we had to make several session changes. The Salesforce.com Executive Solution Session was moved to Thursday at 8:00am in the Novellus Theatre.”
Oracle OpenWorldの参加者が想定以上だったため、いくつかのセッションを変更せざるを得なくなった。Salesforce.comエグゼクティブソリューションセッションは木曜日午前8時のノベルスシアターへ移動した。
しかしこの時間、すでにベニオフ氏は別の予定があるため講演は不可能。実質的にオラクルがキャンセルを言い渡した格好です。
そこでベニオフ氏は、前述のツイートにあるように別の会場(St. Regis AME Restaurant)をセットして講演を行うと宣言します。
「クラウドは止まらないのさ!」(ベニオフ氏)
なぜオラクルは突然こんなことをしたのか、NYTimes.comの記事では、ベニオフ氏が日曜日のラリー・エリソン氏の基調講演について批判的なツイートを取り上げたからではないか、と推測しています。
またセールスフォース・ドットコムは基調講演を確保するために100万ドル(約8000万円)をオラクルに支払っているとのことで、当然ながら返金を求めるそうです。
ところで、ベニオフ氏のツイートに対してマイケル・デル氏が「DELL Worldで会えるのを楽しみにしているよ」とツイート。ちゃっかり来週オースチンで開催されるDELL Worldを宣伝しています。
@benioff Looking forward to seeing you and hearing your talk at dellworld.com
レストランで自主基調講演
そして水曜日の朝10時半、ベニオフ氏は予告通り、場所をレストランに移して自主基調講演を開催。ストリーミング中継も行われました。
テーマは「Social Enterprise」。「この業界はプロプライエタリなハードウェアやソフトウェアから、新しいオープンな世界、クラウドへ移ろうとしているのだ」と、誰もがクラウドとソーシャルを使い始める時代の幕開けを訴える内容の講演が始まります。
ソーシャルの時代には、これまで以上に顧客のことをよく知ることができるようになる、ビジネスが変わるとする一方、例によって「偽のクラウドに気をつけろ!」と、クラウドの代わりにサーバを売ろうとするベンダを揶揄(やゆ)します。
もちろんそこには、オラクルのマシンの姿が。
もしもマーク・ベニオフ氏の基調講演がオラクルによってキャンセルされなければ、これがOracle OpenWorld 2011のスクリーンに投影されたわけで、それが見られなかったのは残念な気がします(昨年、セールスフォース・ドットコムはOracle OpenWorldの講演を「オラクル社員は入室お断り」で行っています。そのとき、こうした画像がスクリーンに投影されたはずです。このスライドはすでにベニオフ氏の講演でおなじみですから、オラクルも当然このスライドが使われるのは事前に十分予想できたはずで、いまさらこれが原因で直前に講演がキャンセルされたとは思えません)。
ところで、セールスフォース・ドットコムは、ベニオフ氏の講演がキャンセルされたことに対して「ベニオフ氏はOOWには革新的すぎた」「クラウドは前進し続ける」といったプラカードを持った抗議デモがOracle OpenWorld会場付近で行われた写真をFacebookで公開しています。
まあ、セールスフォースのマスコットも混じっていてどう見ても社員のみなさんなわけですが、すぐにこんなプラカードを作ってお祭りにしてしまうエネルギーは見習いたいですね。
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