「グーグルよ、動画コーデックのVP8をオープン化しYouTubeに採用すべきだ」フリーソフトウェア財団が公開書簡
動画圧縮技術を保有する企業「On2」のグーグルによる買収が先週完了したことを受けて、リチャード・ストールマン氏が設立したフリーソフトウェア財団がグーグルに公開書簡を送っています。それは、On2が保有する動画コーデックのVP8をオープン化し、FlashやH.264のようなプロプライエタリな動画フォーマットからWebを開放するように迫るものです。
公開書簡は以下のような内容で始まっています。
グーグル御中
On2を買収したことで、御社は世界最大の動画サイトYouTubeと、高性能の動画コーデックVP8およびその背後にあるすべての特許の両方を保有するに至りました。
そこで考えていただきたい。VP8コーデックを非可逆的なロイヤリティーフリーのライセンスでリリースし、YouTubeでそれをユーザーが利用するようになれば、どんなことが成し遂げられるのかを。
御社は特許満載のビデオフォーマットやプロプライエタリなソフトウェア(Flash)に依存してきたWebを終わらせることができるのです。
この技術を放っておいたり取引の材料にするのであれば、それは一時的には御社に利益をもたらすのかもしれませんが、フリーな世界に対してのひどい仕打ちとなるでしょう。
YouTubeでの利用を推奨せずにVP8を開放するようであれば、機会を喪失するだけでなくFireFoxのようなフリーソフトウェアに対するダメージを与えることにもなります。私たちは正しい判断を願っています。VP8をフリーにし、それをYouTubeで利用していただきたいのです!
グーグルはどう答えるか?
現在、オープンな動画コーデックとしてはFirefoxが採用しているOgg Theoraがありますが、これはOn2の以前の動画コーデックであるVP3を基にしたものであり、H.264と比較すると画質がやや劣るといわれています。
グーグルが今回On2を買収したことで、同社が保有するVP8技術を同社がオープンにするのではないか、という予想は、以前の記事「Flashがオープンソース化できず、FirefoxがYouTubeのHTML5動画を再生できない理由。H.264」でも紹介しました。
H.264は特許によって守られている技術であり、それを製品に組み込むベンダーだけでなく、製品を利用するユーザーに対しても将来課金される可能性があります。現在はその特許を保有するMPEG LAが課金を暫定的に免除しているだけであり、いつ課金されてもおかしくありません。
グーグルがVP8をオープンにすることは、フリーソフトウェア財団だけでなく、こうした事情を憂慮している人の多くが望んでいることです。果たしてグーグルはこうした声にどう答えるのでしょうか?