SSDの市場は今後5年で50倍になるとの予想
SSDが少しずつエンタープライズマーケットで存在感を示し始めています。
Computerworld.jpの5月6日付けの記事「エンタープライズSSDの市場規模、今後5年で50倍に」では、このSSDの市場規模が急成長することを予想するアナリストのレポートを紹介しています。
データセンターの省電力化のためにもSSD
記事によると、米国の市場調査会社Objective Analysisが4月に発表したレポートで、2015年までにエンタープライズSSDの市場規模が2009年の17倍近く、約40億ドルに迫り、出荷台数も400万台以上に増加するだろうと予測しているそうです。
その理由として、「HDDからSSDにリプレースすることで、IT支出を大幅に削減しながら、スループットを高めることができることに、ITマネジャーは気づいている」からだとのこと。
一方で、SSDの役割は性能向上だけでなく電力消費の削減にある、と書いているのが、「Network Computing」のブロガーGeorge Crump氏。4月22日付けでポストした「SSD's New Role - Power Efficiency」では、今後のエネルギーコストの上昇について懸念が高まっていることを背景に、次のように書いています。
I believe that SSD is going to evolve from being the performance option for the lunatic fringe to the green requirement for the data center.
SSDは性能向上のための狂信的な選択肢から、データセンターのグリーン化のためのものに変わっていくと信じている。
この主張を裏付けるように、EETimesではマイクロソフトのBingデータセンターがARMプロセッサとSSDを用いた低消費電力型のプラットフォームを検討中だと、4月20日の記事「Microsoft job ad hints at ARM-based servers」報じています。
低消費電力のサーバは発熱量が小さく冷房も最小限になるため、電力の利用効率をより高めることができるのです。
こうしたSSD市場の変化から、やや参入が遅れていた感のある主要なHDDベンダもSSDに参入しはじめました。シーゲートは昨年の12月にSLCベースのエンタープライズ向けSSD「Pulsar」を投入。最大容量は200GB。
また日立GSTもインテルと共同で企業向けのSSDを開発中で、今年下半期には製品を発表するとITproの記事「日立GSTがHDD事業を説明、第1四半期は収益が大幅に改善」が伝えています。
SSDを採用したエンタープライズ用ストレージ製品としては、すでにEMC、富士通、オラクル(サン)、IBMなど多くのベンダから登場しています。いまは非常に高価ですが、今後の価格低下のペースも普及のカギでしょう(この記事を書くにあたり、価格低下に関する予想を見つけることはできませんでしたが)。
エンタープライズでSSDが普及する時期は確実に近づいています。しかし一方で、SSDが普及する数年後に、私たちはまだ自社用のストレージを購入し続けているのでしょうか? もしかしたら企業はいつのまにかクラウドの中でSSDを使い始めている、ということになるのかもしれません。
あわせて読みたい
データセンターにまたがる巨大な仮想ストレージを実現する。EMCの「VPLEX」
≪前の記事
SSD専用に設計された「ReThinkDB」、ロックもログも使わない新しいリレーショナルデータベースのアーキテクチャ