セールスフォースが新しいビジョン「Cloud2」を披露。「Chatter」によるソーシャルとモバイル機能をデモ(後編)
なぜエンタープライズソフトウェアはFacebookのようにならないのか。これがセールスフォース・ドットコムCEO マーク・ベニオフ氏が言う、次の10年のためのクラウドコンピューティング、「Cloud2」のコンセプトでした。そしてCloud2ではソーシャルネットワークとモバイルが重要な要素となります。
後編では、このCloud2をエンタープライズ向けのソーシャルアプリケーションとしてセールスフォース・ドットコムが実装した「Salesforce Chatter」を、基調講演の内容を基に紹介していきます。
(本記事は「セールスフォースが新しいビジョン「Cloud2」を披露。「Chatter」によるソーシャルとモバイル機能をデモ(前編)」の続きです)
Chatterはセキュアでリアルタイムなコラボレーションを実現
Chatterの紹介を担当するのは、プロダクトマーケティング担当シニアバイスプレジデントのKraig Swensrud氏。
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私たちは仕事の中で、必要な人と連絡が付けられなかったり、必要な情報を提供できなかったり、最新の情報に更新していなかったり、といったことがしばしば起こる。これはなぜかといえば、さまざまなアプリケーションが乱立しているからだ。
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しかしコンシューマ向けのネットサービスを見ると、大きな変化が起きている。Facebookではそれをスマートな方法で解決しているのだ。
私たちは「Salesforce Chatter」で、セキュアでリアルタイムなエンタープライズ向けのコラボレーションを実現した。Facebookのようにとても簡単に使え、必要な情報はストリームとしてリアルタイムに流れていく。
これが通常のアプリケーション画面。セールス向けのアプリケーションダッシュボード。
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このプロファイルの部分をクリックすると、Chatterの画面に切り替わる。
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人をフォローするだけでなくドキュメント、例えば価格表をフォローすることもできるし、顧客の情報もフォローすることができる。求めている情報をフォローすることができる。そして、価格表に変更があればそれを知らせてくれる、顧客から入金があればそのことを会計システムのオラクルが知らせてくれる。
いちいちドキュメント管理や経理のアプリケーションにログインする必要はなく、フィードに情報が流れてくる。社内の承認状況、商談状況、売上げ状況などもタイムラインに並ぶ。なにか変化があればリアルタイムにChatterのタイムラインで知ることができる。
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iPadからChatterにメッセージを打ち込んでみよう。どうかな? すぐにタイムラインに表示される。Chatterはリアルタイムに情報共有ができる。
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Chatterのキラー機能ともいえるのが「グループ」。グループは、パブリックにもプライベートにも作れる。グループ内で会話や情報を共有し、保存するための場所として使える。
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グループでスライドをシェアし、クリックすればSlideshareのようにそこで見ることもできる。
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ChatterはPCのWebブラウザだけでなく、モバイルデバイスで、iPadでも、iPhoneでもBlackBerryでも同じタイムラインを見ることができる。これこそが未来のコラボレーションだ。
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Chatterはカスタムアプリケーションのプラットフォームでもある
再び壇上にベニオフ氏。
ユーザーはCloud2の機能(つまりソーシャル+モバイル)をどんなアプリケーションにおいても求めるようになる。
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しかしそうした企業向けのソーシャルアプリケーションを作るのは難しい。なにが効果的な方法なのか? 独自でデータベースを構築し、ロジックを構築しユーザーインターフェイスを構築し、ソーシャル機能を作り込むのか? セールスフォースがForce.comにChatterの機能を組み込んだ。Chatterはプラットフォームでもあるのだ。ISVもChatterの機能を使ってアプリケーションを作り込める。
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コンピュータアソシエイツのカスタムアプリケーション「AgileVision」は、Force.comのうえでChatterの機能を利用して開発された。新製品の開発における計画、追跡、管理を、アジャイル開発手法を用いてサポートするサービス。
アジャイル開発手法ではホワイトボードを用いたコラボレーションを行うが、Chatterはそういったコミュニケーションを置き換えている。リアルタイムで開発チーム内のコラボレーションが可能だ。
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最後に価格と提供時期について。現在のCRMとForce.comの利用者にはChatterは無償で提供される。正式公開は今夏からの予定だ。
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