次の10年、「統計分析」こそテクノロジー分野でいちばんホットな職業になる
グーグルやマイクロソフトによると、「統計分析」こそ次の10年でもっとも魅力的な職業になるのだそうです
マイクロソフトの採用活動などを記しているブログ「Microsoft JobsBlog」に8月23日付けでポストされたエントリ「The Top Three hottest new majors for a career in technology」(テクノロジー分野でもっとも熱い、3つの専門性とは)では、長期的に見て次の3つがホットな分野だと挙げられています。
- Data Mining/Machine Learning/AI/Natural Language Processing (データマイニング/機械学習/人工知能/自然言語処理)
- Business Intelligence/Competitive Intelligence (ビジネスインテリジェンス/競合調査)
- Analytics/Statistics – specifically Web Analytics, A/B Testing and statistical analysis(分析/統計)
3つとも呼び方は違いますが、どれも大量のデータを分析する仕事という点で一致しています。しかも、この傾向は長期なものだろうと予想されているのです。
These fields are very HOT and looking long term, the demand will be just that much greater in these areas.
これらの領域は非常にホットで、そして長期的な視点で見たものです。これらの求人はますます増えるでしょう。
これからの10年で魅力的な職業は統計分析
その1年前、ニューヨークタイムスの2009年8月5日付けの記事「For Today’s Graduate, Just One Word: Statistics」(卒業生へ、ただひと言。「統計」だ)では、グーグルのチーフエコノミスト Hal Varian氏の次のような言葉が引用されています。
“I keep saying that the sexy job in the next 10 years will be statisticians,” said Hal Varian, chief economist at Google. “And I’m not kidding.”
「いつも言っていることだけれど、これからの10年で魅力的な職業は統計分析になるでしょう」と、グーグルのチーフエコノミスト Hal Varian氏。「大まじめですよ」
あらゆるものが計測される時代
なぜ統計分析という仕事が魅力的になるのか、その理由として、あらゆるものがモニタされ、計測される時代へと急速に移りつつあるからだと説明されています。同記事からさらに引用しましょう。
“We’re rapidly entering a world where everything can be monitored and measured,” said Erik Brynjolfsson, an economist and director of the Massachusetts Institute of Technology’s Center for Digital Business. “But the big problem is going to be the ability of humans to use, analyze and make sense of the data.”
「あらゆるものがモニタされ、そして計測される世界へと急速に移り変わろうとしています」と語るのは、エコノミストでマサチューセッツ工科大学デジタルビジネスセンター ディレクターのErik Brynjolfsson氏。「しかし、そのデータを使い、分析し、利用する人類の能力が問題になろうとしているのです」
いま、大量のデータを指す「Big Data」という言葉が多くの場面で使われるようになってきました。ITの発展に、さまざまなビジネスの現場で、いままで以上に詳細な販売データ、ネット広告に対する反応、オンライン上での自社の評判など、ビジネスに関連するデータが詳細かつ膨大になってきたためです。
IBMもデータの分析ができる人材を4000人増やすと記事で触れられています。
I.B.M. plans to retrain or hire 4,000 more analysts across the company.
ITの中心的な役割が変わっていくのか
これまで、IT分野の中心的な役割は、さまざまな目的に応じたシステムを構築することでした。ITの専門性とは主に、ソフトウェアとハードウェアを使って構築するためのものでした。
しかし、そうして構築したシステムからどんどんとデータが送られてくるようになってくると、次の時代のITの役割として、このITによって生成されたデータを活用するために分析、加工することの比重が高くなってくるのでしょう。Hadoopのような大規模分散処理のフレームワークが急速に注目を集めているのもそのためです。
そしてITエンジニアに求められる専門性もそれに従って、統計や確率、集合や演算といった数学的な専門性の上で、それを実装するためのプログラミング技術が重視される時代になるのかもしれません。
(追記 2011/1/12 本文中で紹介した情報の日付に合わせて本文の順番を一部変更しました。当初はニューヨークタイムスの例を先に出し、マイクロソフトの例が後でした)