マイクロソフト、C#やCLIのオープンソースによる実装を認める。Monoプロジェクトに弾みがつくか?
マイクロソフトの.NET Frameworkを、オープンソースで実装しようとしているのがMonoプロジェクトです。最新版のMono 2.4では、LinuxやOS X、BSDのうえでC#やVisual Basic 8などのコンパイラが動作し、.NET対応のアプリケーションの実行も可能になっています。
しかし、マイクロソフトが知的所有権を保有する技術をオープンソースとして実装するのは危険である、と主張する人がいます。あのリチャード・ストールマン氏です。
7月1日のCNET Japanに掲載された記事「GNUプロジェクト創設者R・ストールマン氏、「Mono」に対する「リスク」を警告」で、ストールマン氏は次のように発言しています。
Microsoftがいつの日か、ソフトウェア特許によってC#を用いたすべてのフリーソフトを強制排除しようと計画しているかもしれないというものである。この危険性は深刻で、実際にそうなるまでこれを無視しようとするのは愚かすぎる。
マイクロソフトがCLIとC#の実装を自由に認める
こうした懸念に対するマイクロソフトの返答なのかどうかは分かりませんが、マイクロソフトのオープンソースコミュニティ担当のPeter Galli氏が7月6日に書いたブログ「The ECMA C# and CLI Standards」で、.NETのランタイム規格であるCLIとC#の実装について、誰がどのように行おうと一切の主張をしないことを確認した、と報告しました。
It is important to note that, under the Community Promise, anyone can freely implement these specifications with their technology, code, and solutions.
具体的には、C#の標準規格であるECMA 334と、CLIの標準規格であるECMA 335について、マイクロソフトの「Community Promise(コミュニティとの約束)」を適用するのがふさわしいだろうと、マイクロソフトの.Net Developer Platform担当バイスプレジデントのScott Guthrie氏が、ブログ主のPeter Galliに伝えたそうです。
そしてこのCommunity Promiseには、「マイクロソフトは誰が開発し、利用し、販売し、どのようなライセンスが適用されようとも一切の主張はしない」ということが約束されています。
これでMonoの開発者たちは安心してCLIやC#の実装に取り組めることになり、またストールマン氏の懸念も消えていくことになりそうです。
Monoプロジェクトに弾みがつくか
Monoプロジェクトのスポンサーであるノベルで、Monoプロジェクトを担当しているMiguel de Icaza氏は、自身のブログ「From Microsoft: C# and CLI under the Community Promise」でいちはやくこのことを報告し、またマイクロソフトに次のように感謝の言葉を寄せています。
Thanks to everyone at Microsoft that worked to get this approved and released.
また、The Linux Foundationのブログ「Microsoft applies Community Promise to the ECMA 334 and ECMA 335 specs (C#, CLI) | The Linux Foundation」でも取り上げられていました。
知的所有権の問題がクリアされたことで、Monoプロジェクトによる.NETの実装はさらに進むとともに、ディストリビューションへの採用などもこれから増えていくのではないでしょうか。
関連記事 on Publickey
参考記事 on the Web
あわせて読みたい
Movable Type 5は汎用CMSへと進化。コア部分は変更なし
≪前の記事
SAP「保守料金を値上げします」 顧客「だめ。この試験に合格したら許す」 SAP「じゃあ頑張ります」←いまここ